今回大きく構図が変わるのが、大阪、兵庫の6つの選挙区だ。公明党が長年議席を維持してきたが、維新が初めて参戦。

その中の1つ、大阪6区も激しい戦いとなっている。

【動画】『全面対決』公明の牙城に維新が初挑戦 立憲、共産、参政も参戦

■5人が立候補する混戦 維新と公明の駆け引きの歴史(大阪6区)

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関西を舞台にした、「絶対に負けられない」者同士の戦いが、15日、始まった。

公明党 山口那津男前代表:ちゃんと考え抜いていないのが、思い付きの維新の政策なんです。

維新 吉村洋文共同代表:クリーンな政治ときれい事言ってる公明党だって、(自民の裏金議員を)推薦してるじゃないですか。

維新結党後初めてとなる、国政での公明との全面対決。公明が候補者を立てる関西6つの選挙区で、維新が初めて候補者を擁立した。

選挙区の構図が一変した背景には、大阪で長年続いた地方議会での駆け引きの歴史があった。

維新は看板政策、いわゆる「大阪都構想」の実現のため、公明に協力してもらう見返りとして、衆院選で公明の選挙区に候補者を立てなかった。

しかし選挙の後、公明に協力姿勢が見られず…。

大阪維新の会 橋下徹代表(当時):公明党にはあれだけ裏切られた。この事態に対しては、とことんいきます。僕は死ぬまで、(衆院選で)公明党の選挙区で、誰からも相手されなくても、立候補し続けることをライフワークにしてやろうと。

維新が「衆院選の小選挙区で直接対決する」と揺さぶると、公明が態度を軟化させ、住民投票が実現した。

その後も維新は交渉の切り札として、公明の選挙区には候補者を立ててこなかったが、状況は一変。

都構想は住民投票で2度にわたって否決され、事実上頓挫。

さらに、維新が去年4月の統一地方選挙で、初めて大阪市議会・府議会ともに単独過半数を獲得し、維新は公明に協力を求める必要がなくなったのだ。

結果、これまで無風だった大阪6区は、5人が立候補する混戦となった。

■「子育て政策」、「介護保険料の抑制」 公明党・伊佐進一さん

公明党・前職 伊佐進一さん(49)

公明党公認で自民党推薦の伊佐進一さん(49)。衆議院議員を4期務めた、公明党若手のエースだ。

連日、伊佐さんのもとには全国各地から応援が…。

支援者:東京から来ました。
公明党・前職 伊佐進一さん(49)​:東京はどちら?
支援者:渋谷区から来ました。

それでも、今までにはない「焦り」を感じている。

公明党・前職 伊佐進一さん:地域を回っている肌実感は、依然厳しい状況が続いている。なんやかんや言っても(維新は)“横綱”。チャレンジャーの気持ちで戦わせていただく。

維新というライバルの出現に、闘志を燃やす伊佐さんが、今回特に力を入れているのは、オリジナル動画の拡散だ。

公明党・前職 伊佐進一さん:実はこれ(候補者)を見極める、簡単な方法があります。それは、実績があるかどうかを見るんです。

若い人にも広く訴えを届けるため、ほぼ毎日動画を投稿。

伊佐さんは、厚生労働副大臣として取り組んできた「子育て政策」や「介護保険料の抑制」をさらに進めたいと訴える。

公明党・前職 伊佐進一さん:子育て支援含めて若い世代の支援、手取りをなんとか増やしたいという思いでいろんな取り組みを行ってきました。

支援者:維新なんかぶっ飛ばせー!!

■「教育無償化」、「外交防衛政策の必要性」 維新・西田薫さん

維新公認で立候補するのは、前府議会議員の西田薫さん(57)。

先週、事務所では選挙戦に向け、戦略会議が行われていた。

維新・新人 西田薫さん(57)​:背水の陣で今回臨ませていただく。全てをかけて戦いに集中していきたい。

ライバルの公明党が長年守ってきた議席を奪うため、チームも戦闘モード全開だ。

西田陣営:西田さん個人の戦略、どういう戦い方をしたい?
維新・新人 西田薫さん:一番の強敵、“横綱”が公明党。公明・自民では憲法改正は未来永劫できないと訴えていきたい。

西田さんが訴えるのは、憲法改正による「教育無償化」の明記や、「外交防衛政策」の必要性。

「憲法改正が進まないのは、長年の自公連立が生んだ弊害だ」と指摘する。

維新・新人 西田薫さん:批判を恐れず、憲法改正についても、しっかり主張していきたい。今こそ真剣に国家国民を守れる政党がどこなのか、自分たちの保身のためだけの選挙協力、互助会的な連立政権ではなく、しっかり日本守る、日本維新の会を信じていただきたい。

維新・新人 西田薫さん:ここ(大阪6区)を勝つことができれば、自公の連立はこれから必要なのかという問題提起ができる。日本のこれからの政治がかかっている選挙区と位置付けている。

■「介護保険料の高さ」 共産党・渡司考一さん

維新と公明の直接対決の構図に挑むのは、共産党公認の渡司考一さん(72)。

元大阪市議会議員で、衆議院選挙は2014年以来、2度目の挑戦だ。

共産党・新人 渡司考一さん(72):維新政治のあり方として、府議会と市議会で過半数を得たから、公明党に用はないというやり方が、恩義と信義にもとるんじゃないか。立候補者がどんどん出るのは、民主主義の上では大いに歓迎できる。それぞれ論戦を戦わせていきたい。

渡司さんが演説で訴えたのは、「介護保険料の高さ」。

65歳以上の介護保険料の高さでは、大阪6区を構成する大阪市・守口市、門真市が全国トップスリーに入っているのだ。

共産党・新人 渡司考一さん:総選挙で、この(大阪6区の)3つの市で大反乱を起こして、日本共産党を国会に押し上げてください。必ず介護保険料引き下げの論戦を行ってまいります。

■「子育てしやすい環境の整備」「物価高対策」 立憲・福留陽子さん

立憲民主党からは、シングルマザーで2人の子供を育ててきた福留陽子さん(55)が立候補。

子供が二十歳になり、子育てが落ち着いたタイミングで、未経験の政治の世界に飛び込んだ。

立憲・新人 福留陽子さん(55):子供が小さい時に、上げられなかった声を今上げて、小さな声を拾って、声なき声を拾って国政に届けたい。

立憲・新人 福留陽子さん:かっこいい政党の名前をつけて、『改革します』と目の前のこと、耳ざわりのいいことだけ有権者に伝えて、さも変えたようにする政党よりも、立憲民主党は本物の政治家が、20年後50年後の未来を考えて、政策を作っているので全然違う。

自身が子育てをする中で感じた課題を解決するため、「子育てしやすい環境の整備」や「物価高対策」を訴える。

立憲・新人 福留陽子さん:少子高齢化の一つの原因に、子育て支援の不足があげられる。子育て政策を充実させていくことで、少子高齢化に歯止めをかけたい。

■「積極財政」「消費税減税による経済の成長」 参政党・月足舞子さん

そして、参政党からは派遣社員の月足舞子さん(33)が参戦。

毎日、仕事終わりに街頭に立ち、手取りが増えない現状に苦しむ当事者として、「積極財政」と「消費税減税による経済の成長」を訴える。

参政党・新人 月足舞子さん(33):33歳ですから、きょう週末金曜日、友達とごはん行ったりしたいけど、なんで今マイクを持ってしゃべってるか。今の政治家にこのまま日本任せていたら、どんどん駄目になっていって、気づいた時には取り返しのつかないことになると思って参政党で活動している。今やらないといけないのは減税。消費税は廃止にしたらいい。

“常勝関西”の伝統か、”新たな”選択肢か。戦いは始まったばかりだ。

(関西テレビ「newsランナー」2024年10月16日放送)

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