NTT法の見直しについて議論してきた総務省有識者会議の3作業部会は18日までに、それぞれの報告書案を示した。NTTに課されている全国一律の固定電話の提供義務を巡っては、現在のメタル(銅)回線に加え、携帯電話網を活用する案を盛り込んだ。また、NTT株に対する外国人の出資規制は維持することが適当とした。総務省は今後も有識者会議で詳細を詰め、来年の通常国会での法改正案提出を目指す。
スマートフォンの普及に伴い、固定電話の回線数はピーク時の2割程度まで減少した。老朽化したメタル設備による電話回線の維持コストは重く、赤字事業になっている。NTTは2035年ごろまでに、メタル回線の設備を段階的に縮退する計画を明らかにしている。
全国一律提供のユニバーサルサービスを議論する作業部会は、こうした負担なども考慮。通信環境を維持するため、携帯電話網を使った固定電話サービスもユニバーサルサービスとして認める案を示した。NTT以外の通信事業者も連携して提供することになる。
これに伴い、全国一律で負っていたNTTのサービス提供責務は、事業者がサービスを提供していない地域に限る責務に緩和することも提案された。
なお、携帯電話そのものをユニバーサルサービスとする案は「技術の進展や利用実態を踏まえ、引き続き検討を行うことが適当」とした。
NTT法は、外国人株主の株式保有割合を3分の1未満とする出資規制も定めている。NTTは規制撤廃を訴えたが、作業部会の案では経済安全保障の観点から「規制の維持が適当」と判断した。公共インフラの経営に対する外国の影響力を排除し、外為法による審査との併用が必要と結論づけた。【藤渕志保】
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