シリーズで特集している新たな区割りで初めて行われる衆議院選挙。今回は強い危機感が広がっているこの数字について。全国で6番目に高い1.31%。これは2023年時点の福島県の人口減少率だ。福島県内に“転入”した人より、県外に“転出”した人の方が多い「転出超過」などが要因になっている。
選挙戦の争点になっている「地方創生」、原発事故で被災した地域に移住した有権者がいま託す“一票”とは?

創業支援などに取り組む南相馬市小高区の小高ワーカーズベース。
只野さん:「岡ちゃんこれどうやんの~?」
岡ちゃん:「普通にくるくるってやったらとれます」

<4年前に埼玉県から移住>
ここで働く埼玉県出身の只野福太郎さんは、小高区に4年前に移住した。
「形のない人と話して色々決めていくみたいな作業からこういう物理的な改良改善を進めることまで全部やります。これが地方です。小規模チームで全部やります」と話す只野さん。宿泊可能なコワーキングスペースの運営や、小高区で起業を始める人に地域とのつながりを作るなど仕事は多岐にわたる。共通しているのは“懸け橋”になることだ。
「自分たちで地域とか経済とか文化とか、そういうものを独立性を持って地域でやっていこうよみたいな、そういう生き方自分にフィットしてるかもなと。チャンスがある場所どこだろうと思うと、余白が生まれまくっている福島だなと思ったので来たっていう」と只野さんは話す。
南相馬市小高区の“余白”。縁もゆかりも無かった福島県に只野さんが惹かれた理由だ。

<小高区の人口は震災で半分以下に>
原発事故で2016年7月までの5年余りにわたり、立ち入りが制限された南相馬市小高区。震災前には1万3000人が暮らしていたが、避難指示の解除から8年が経った現在の人口は6200人余りだ。
人口が大幅に減る一方、復興に向けて進む新しいまちづくり。移住者が活躍できるチャンス“余白”が小高区にはあった。
只野さんは「余白がたくさん生まれたからこそ、そこに対して自分のプランをあたためていた人がここだったら、やりたいって思ってやって来る、そういった環境は(小高区に)整っています。変な意味でチャレンジとか思わずに、当たり前に自分たちで変化していく時代に合わせて必要なものを作っていく。そういう風土ができた町になっていったらいいなと思います」と話す。

<地域の橋渡し役>
これまで“橋渡し”をしてきたプロジェクトは約40に上る只野さん。この日、訪れたのは…。
店員:「こんにちは~」
只野さん:「こんにちは~お世話様です。ちょっとお酒買いに来ました」
店員:「ありがとうございます~」

自由な酒づくりが注目される「HACCOBA(はっこうば)」。土地の選定や外壁の塗装などをアドバイスして、2021年のオープンを支えた。
HACCOBAの五十嵐茜さんは「この地域のコミュニティーマネージャーなんで情報通なんで、何か困ったときの福ちゃんっていう、すごい頼もしい存在ですね」という。
只野さんは「HACCOBAがどんどんとこう世に羽ばたいていけばいくほど、色んな人があやつらは私が育てたっていうような感覚として、何かが生まれた瞬間に携わるって楽しいことだなと思います」と話す。

<過去最多の移住者も29年連続で転出超過に>
人口減少が進む地域の活性化に大きな役割を果たす移住者。県内では2023年度3419人と初めて3000人を超え、過去最多となった。
しかし、県外への転出が転入を上回る「転出超過」は29年連続で、人口の流出に歯止めがかかっていない。

地方創生に向けて、いま政治に求めることは?
「いきなり、この土地で起業して成功させていくという人が来ることはなかなかない。特に地方においては。なので、地場でチャレンジできる風土を整えるためにも、いきなり起業してがっつりやっていく手前の部分があると、よりチャレンジが加速していく、それが生態系になってくるのかなと思っています」と只野福太郎さんは話した。

衆議院選挙は、27日投開票される。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。