27日投開票の衆議院議員選挙。
兵庫9区では明石と淡路で無類の強さを誇ってきたベテラン議員が裏金問題を受け、自民党からまさかの非公認に。
王者の逆風にほかの候補者たちは…
公示日当日、JR明石駅前には人だかりが。
そこには、多くのSPに囲まれる立憲民主党・野田代表の姿がありました。
選挙戦初日にあえて兵庫県に入ったワケとは…
【立憲・野田佳彦代表】 「”裏金”は許さない忘れない、裏裏裏の政治、こういうものと戦わなければいけないと思ったからです」
その後も、続々と各党の代表が兵庫入り…
【維新・吉村洋文共同代表】「給料が上がらない社会でしょ。なんとか変えていかなきゃ。 変えていかなきゃいけない国会議員決める人たちが”裏金”でしょ。裏金で公明党も推薦、なめくさってますよ、こんなの」
【共産党・田村智子委員長】「石破総理は”裏金”と言われるのが嫌、組織的犯罪と言われるのが嫌。ごまかしに躍起になっているんです」
政党のトップたちがけん制したのは…
■「裏金問題」で自民から公認得られず 無所属・西村康稔さん「地盤固め」で勝負
【無所属・西村康稔候補】「政治不信を招いたこと改めてお詫び申し上げたいと思います。本当に申し訳ございません」
裏金問題で自民党から公認を得られず、無所属で立候補する前職の西村康稔さん(62)。
24年前、大物政治家の後継として、立候補した衆議院選挙。初陣こそ敗退したものの、 その後は7期連続当選と圧倒的な強さを誇り、対立陣営からは9区を”西村王国”と呼ぶ声もあがります。
しかし、その王国に異変が…
【無所属・西村康稔候補】「無所属の選挙は厳しい、車もこの1台しかないんです。チラシや選挙ハガキの枚数も少ないんです。ポスターも外には貼れないんです。そんな制約のなかでやっていかないといけません」
無所属で戦わなければならない西村さん。街頭活動演説で目立ったのは裏金問題の釈明です。
【無所属・西村康稔候補】「正直申し上げてやましいところはないんですけれども、”不記載”ではなく記載しておりました。政治資金の収入として記載しておりましたが、その書き方が違っていた、誤っていた」
演説の後には有権者からの厳しい声も…
【有権者】「一番はごめんなさい。国民をごまかしちゃだめですよ」
自民という大きな後ろ盾を失った西村さんが力を入れたのは、地元企業などこれまでの支持層を回る”地盤固め”です。
【無所属・西村康稔候補】「私の場合は処分を受けていますので、覚悟して一から原点に戻ってやっていくと、それだけです」
西村さんが訴えるのは、経済産業大臣時代には十分な成果が残せなかった中小企業支援など、日本経済の活性化です。
【無所属・西村康稔候補】「所得を増やそうではありませんか、皆さん。経済は私に任せて下さい。誰にも負けず、しっかりと地方の経済、日本の新しい産業含めて私にやらせてください」
■4人の子どもの父親 立憲民主党・橋本慧悟さん「子育て支援」訴える
そんな、”西村王国”に攻め入るのは3人の新人。
【立憲・橋本慧悟候補】「裏金問題、そして政治不信が招かれている状況を許すことができません。今こそこの国の政治を兵庫9区から変えていくんだ」
「裏金問題」にNOを突きつけるのは立憲民主党の新人・橋本慧悟さん(35)。
4人の子どもを育てる父親で、「子育て支援」や「教育の無償化」を訴えます。
去年3月、小野市の職員だった橋本さんは去年、兵庫県議会議員選挙に立候補。
【泉房穂明石市長(当時)】「明石の街のために橋本君が必要なんです。やる気の橋本。 情熱の橋本。若さの橋本」
前明石市長・泉房穂さんの強力な支援を受け、選挙区トップでの当選を果たしました。 今回も泉人気にあやかりたいところ…ですが。
泉さんはSNSで誰の選挙応援にも入らないと明言。
さらに、追い打ちをかける事態も…
ともに、泉さんの支援を受けて当選した丸谷明石市長がなんと、ライバルの西村さんの支援に入ったのです。
【立憲・橋本慧悟候補】「ご本人の真意は聞けていないので、わかりませんが、率直に残念ではあります」
頼りにしていた助っ人不在で課題となるのは”知名度の低さ”。 顔を売るために昼夜とわず地域のイベントに参加しました。
しかし、そこに現れたのは…
【無所属・西村康稔候補】「おっ、本人、本人」
【立憲・橋本慧悟候補】「おつかれさまで~す」
【立憲・橋本慧悟候補】「私は挑戦者ですから、胸を借りるつもりで、全力で真摯にぶつかっていくだけだと思います」
■日本維新の会・加古貴一郎さん 「街づくり」と「曲づくり」で有権者にアピール
【維新・加古貴一郎候補】「いわゆる裏金の問題、そういったことは私はずっと国家公務員ということでやってきました。当然そういう問題はありませんし、オープンでクリーンな政治ということでしっかりやっていきたい」
日本維新の会から立候補するのは新人の加古貴一郎さん(61)。
選挙で訴えるのは明石や淡路など「播磨灘」を中心としたエリアをリゾート地域に再開発する構想です。
【維新・加古貴一郎候補】「このエリアは本当に魅力的なんです。こどもたちが大人になって働ける職場を作っていく。お年寄りになっても豊かに暮らせる環境を作っていく」
加古さんは国土交通省に37年務めた”街づくり”のスペシャリスト。
さらに、もう一つの顔があります。
それが…
アーティスト「きいちろ」。
中学生の頃に始めたギターにのめり込み、これまでに作った楽曲は100以上。
この選挙でも、明石と淡路への想いを有権者に伝えるための、オリジナルソングを公開しています。
【♪さあ はじめよう】「さあ作り出そう 子供たちの笑顔はじける 明石の町が日本の未来を開く」
「街づくり」とともに、「曲づくり」を続けてきた加古さん。
声にのせた想いは有権者に届くのでしょうか。
【維新・加古貴一郎候補】「無謀な挑戦に端からは見えたかもしれませんが、僕からすれば相手は強ければ強いほうがいい」
【記者】勝率は?
【維新・加古貴一郎候補】「客観的に見ればかなり厳しいかもしれませんが、主観的に見れば100%です」
■共産党・高田良信さん 元高校教師がパワフルに訴える「教育の無償化」
【共産・高田良信候補】「裏金政治の自民党の圧倒的に強い震源地でもある「西村王国」であります。そこに私挑戦を致します」
共産党から立候補するのは新人・高田良信さん(78)。
元高校教師の高田さんが選挙で訴えるのは大学を含む「教育の無償化」です。
【共産・高田良信候補】「大学の授業料が高すぎて、アルバイトをしなければならない。深夜残業までやったら、次の日大学に行っても授業を受ける時に眠たくて眠たくてしょうがない」
78歳の訴えに足を止める学生の姿もありました。
【有権者】「大学の無償化とか結構僕らの将来に繋がってるので、頑張ってもらいたいなと」
高田さんが選挙戦で必ず持ち歩いているもの。それがこの青いノートです。
【共産・高田良信候補】「私が(ノートを)まとめるんですけど、学費の無償化だったらフランス・ドイツとか、知った国だったらどうなのかなと自分で調べて」
年齢を感じさせないパワフルな高田さん。
朝から夜まで続く選挙戦を戦い抜く秘訣は?
【共産・高田良信候補】「うちのパートナーが野菜ジュースをよく出してくれる」【記者】それが元気の源?
【共産・高田良信候補】「それもあると思うんですけどね」
パワフルな高田さんを支えているのは毎朝、妻が手作りする野菜ジュース。
【共産・高田良信候補】「若い人が頑張ってとか、手を振ってくれるので、元気にやれてます」
裏金問題を発端に揺れる「西村王国」。
有権者はどのような判断を下すのでしょうか?
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