裏金問題で自民党から「非公認」となった候補がいますが、その候補が代表を務める政党支部に2000万円が支給されていました。与野党の反応は。

■石破総理“候補者に金を出していない”

自民党 石破総裁
「このような時期にそのような報道が出ることは誠にもって憤りを覚えるものであります。そのようなことは私ども一切、致しません。この場ではっきりと申し上げておきます」

 投票日まで残すところ3日となった衆議院選挙。そんななか、新たに出てきた「政治とカネ」を巡る報道に与野党が敏感に反応しています。

 共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は、自民党派閥の裏金事件で自民党が非公認とした候補者が代表を務める政党支部に2000万円の活動費を支給していたと報じました。

 それによりますと、活動費が支給されたのは現在も代表を務める非公認候補8人の政党支部で、税金を原資とする政党助成金から公認候補と同じ額の2000万円が公示直後に支給されたということです。

 この報道を受け、自民党は非公認とした候補者の政党支部に2000万円を振り込んだことは認める一方、非公認候補者個人への支給ではないと反論しています。

自民党 石破総裁
「公認してない候補者に金払ったんじゃないの?そのようなことはございません。私たちは候補者にお金を出しておりません。この厳しいなか、何とか自由民主党の公約、自由民主党の政策、それを分かってもらいたい。その思いで政党支部に出しておるのであって、非公認候補に出しておるのではございません。そのような金を選挙に使うこと全くございません」

自民党 森山幹事長のコメント(23日付)
「政党支部に対して党の組織として、しっかり党勢拡大のための活動をしていただきたいという趣旨で党勢拡大のための活動費として支給したものです。候補者に支給したものではありません」

■野党は一斉に批判の声

 これに対し、野党側は一斉に批判の声を上げています。

立憲民主党 野田代表
「非公認にしたと思っていたら実は裏で2000万円、お金を出していたということが分かりましたね。これはちょっと見過ごせませんよ、皆さん。これ許せますか?皆さん。全然、反省していないんじゃないですか。総選挙の時期に党員資格停止などの処分を受けている人が支部長であり続けて、お金が流れること自体が、疑いが持たれるのは当たり前じゃないですか。しかも2000万円でしょ。公認候補と同じでしょ、総額が。どうみても裏公認料と誰もが思うんじゃないでしょうか」

■なぜ?自民「非公認」候補側に2千万円

 自民党は24日、総裁・幹事長室名義で党内に向けて次のような説明文書を配布し、党内の動揺を鎮めようとしています。

自民党 総裁・幹事長室
「この赤旗の記事は事実を曲解して極めて精緻に誤解を誘導するものであります。『裏公認』『偽装公認』という指摘は一切あたりません」

 党内向けの文書では、支部長の任期は「今回の選挙が終わるまで」とし、公認候補も非公認候補も「当該選挙区の自民党支部長」であると説明。

 また、非公認となった支部長が無所属候補として立候補した場合は自身の選挙運動にこの交付金を使うことはできないとしました。

共産党 志位議長
「裏金議員に対して厳しい処分をしますと言いながら、裏公認していた。裏金自民党による裏金議員に対する裏公認です。裏が3つも出てきた。選挙に使われないわけがないじゃないですか」

日本維新の会 藤田幹事長
「非公認と言って、表ではそういうパフォーマンスをしておきながら、金銭的には同じ支援をするということでありますから、それで国民の皆さんをもし、だませると思っていらっしゃるのなら本当にあり得ないことだと思いました」

 今回、支給された政党助成金は国民1人あたり年間で250円、総額約315億円が要件を満たした政党に配分される政治活動費などで、共産党を除く政党が受け取っています。

 その使途については原則、報告する義務があります。野党側は…。

国民民主党 玉木代表
「党勢拡大のため、そんなの選挙に勝つことに決まってるじゃないですか。支部に出す、イコール支部長に出しているのと同じなので。やっぱり自民党、駄目だなと。支部に出しているんだから、本人には出してないと憤りを覚える、そういう発言してましたけど、憤りを覚えているのは国民ですよ」

れいわ新選組 山本代表
「非公認とされた人たちにお金を渡す…まあ自民党だよなと、そういうことです。金と票にならないところには微塵にも愛情がない。けれど仲間には手厚い。ザッツ自民党。そういうことでした」

社民党 福島党首
「『裏金議員は公認しません』と言っておきながら結局、裏金議員も公認(候補)と同じ扱い、同じ2000万円です。めちゃめちゃ応援するよってことじゃないですか。当選して戻ってきてね、ということじゃないですか」

 今回の報道を受け、参政党もコメントを出しています。

参政党のコメント
「見せ掛けだけの公認外しで信頼回復をうたっても、国民の納得は得られない。言動が不一致で、もはや国民をだましているに等しい。この腐敗した体質が続く限り、信頼も未来もない」

 2000万円が政党支部に振り込まれていた非公認候補者の1人が24日午後、自民党にこの政党助成金2000万円を返還すると表明。現在、党本部と調整しているということです。

公明党 石井代表
「(Q.公認候補と同じ額で事実上の選挙支援ととれるかと思うが、連立を組む公明党としては?)まずは自民党の方でご説明される案件だと思っています」

 自民党と公明党の連立与党で過半数の議席を維持できるかが焦点の1つとなっている衆議院選挙。石破政権が正念場を迎えています。

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