10月27日に迫った衆議院選挙について、福島県の各選挙区の構図を伝える。今回は、同年代の新人3人が争う「福島4区」。「震災からの復興」を争点に、浜通り一帯で選挙戦が展開されている。新たに加わった相馬市・南相馬市など浜通り北部で、どこまで支持を拡げられるかが勝敗を左右すると見られる。
<立憲民主党の新人・斎藤裕喜さん>
「産業、再生可能エネルギーや、これからのエネルギーのあり方を作っていく。そういう地域にしなければ、この地域は超少子高齢化、そして人口減少していく中での、これからの地域の生き残りがかかっています」
有権者の7割近くを占める“大票田”のいわき市で、第一声を上げた立憲民主党の新人斎藤裕喜さん。いわき市出身の45歳で、福島県富岡町でエネルギー関連の会社を経営。前回の衆議院選挙から一転、野党共闘を見送った立憲民主党が白羽の矢を立てた。
かつて、立憲民主党の泉健太さんの秘書を2年間務めた斎藤さん。「泉さんも地元で必ずご飯を食べてたので。地域の飲食店でしゃべって、それがひとつのコミュニケーションにもなる」と話し、初めての選挙戦でも、その姿を手本に支持拡大を狙う。
課題とされる知名度不足の克服につなげようと、支援するのが連合福島。前回選挙で、共産党の候補者に一本化したことで、立憲民主党との間に残っていた“しこり”は今回解消されつつある。
4区のカギを握るとみられるのが、有権者の2割ほどを占める相馬市や南相馬市などの浜通り北部。区割り変更で、浜通り全域が一つの選挙区になった。
そこに泉健太さんも応援に駆け付け「どうしても福島に帰りたい。福島が好きだ。
地元の復興をやりたい。ということで私のもとを去っていってしまったんですね」と「元秘書」を援護する。
復興を前進させるため、医療・介護の充実や防災力の強化を中心に訴え続ける。
「この被災地の人たちの声を聴き、そして国政に行き皆さんの暮らしが一歩でも半歩でも1ミリでもよくなるよう、私はその一心で戦っていきます」
<共産党の新人・熊谷智さん>
「政党として、原発もういらない原発ゼロにしようと訴えられる政党の候補者として、私日本共産党の熊谷智は、皆さんと一緒に”もう原発なくそう”この声を国政へ届けるために全力で頑張りたいと思います」
対して2023年5月から立候補を表明してきたのが、共産党の新人熊谷智さん。福島県喜多方市出身の44歳。衆院選の小選挙区に挑戦するのは3回目で、前回は野党共闘の統一候補として、前職を相手に5万5000票余りを獲得した。
この日は、川内村で遊説の日。前回の選挙では訪れることができず、後悔が残った。今回は自ら一部の遊説日程を組み、すべての市町村で声を枯らす。
街頭演説の合間に、村にあるカフェに立ち寄り趣味のコーヒーで一息。地元の人たちとの触れ合いを活力に、それぞれの地域が抱える課題に耳を傾ける姿勢を徹底する。
熊谷さんが訴えるのは「原発ゼロの日本」だ。「今回の選挙は、ふくしまの浜通り側。この原発事故によって傷ついた双葉郡などの復興に力を尽くしている、そういう皆さんの頑張りに報いる、そういう選挙にしなければなりません」と話す。
新人3人による同世代の戦いは、これからの復興を担う「世代交代」を託す争いでもある。
<自民党の新人・坂本竜太郎さん>
「私は、皆様方のご指導お力頂いてしっかりと国にその責任を果たさせる。この役目を地元の立場として、何があったってみなさんの声をお届けさせ続ける。その覚悟で今回立候補を決意させて頂きました」
自民党の新人坂本竜太郎さんは、いわき市出身の44歳。これまでに、いわき市議会議員、県議会議員を務め国政に初挑戦する。
震災後に行われた過去8回の国政選挙は、すべて福島県内で第一声を行ってきた自民党総裁。今回も石破総裁が駆け付け「吉野先生の想い、そして坂本剛二先生の想い。それを一身に受けてこの度坂本竜太郎、皆様方にご指示を賜りたい。そのように思っております」と訴えた。
元衆議院議員の父・剛二さんも戦った浜通りで、前職・吉野さんの復興政策も引継ぎ、「後継」としての立場をアピールする。
坂本さんが力を入れるのも、浜通り北部。短期決戦のなかでも、できるだけ有権者と会話する機会を重視している。
この日の昼食は、南相馬市の弁当店で購入したカツだった。「エネルギー、パワーになりますし、お気持ちが。メンタル面でも”勝ってくれ”って思いを受け取って」と話す。
「新しい浜通りのリーダー」を目指し、新たな産業の創出を訴えの柱に選挙を戦う。
「浜通り全域にこの声を広げていただいて、必ずやもし押し上げていただけたならば、私は命がけで全身全霊で皆様のために恩返しをさせていただく。浜通りからこの国の新しい時代、切り開いてまいりたいたいので、どうぞ最後の最後の最後まで何卒坂本竜太郎、自民・公明党よろしくお願い申し上げます」
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