今回の衆院選では、物価高対策や賃上げも争点の一つとなっています。 この30年で物価が上昇する一方で、所得は減少しています。 正規雇用と非正規雇用の格差の是正についての各党の公約も見ていきます。
■30年で物価や所得 どう変化?
東京23区の30年前と今の主な物価の比較です。
「ガソリン」は、1994年は1リットルあたり123円、2024年は174円。
「鶏肉」は、1994年は100グラムで109円、2024年は139円。
「小麦粉」は、1994年は1キロで203円、2024年は349円。
「砂糖」は、1994年は1キロで233円、2024年は280円です。
バブルが崩壊した1991年を100として、2020年、日本は103.1と、30年間ほぼ横ばいです。
一方で、アメリカは146.7、イギリスは144.4、ドイツは133.7、フランスは129.6と、他の国は大きく実質賃金が伸びています。
また1世帯当たりの所得の中央値です。中央値とは、所得を低い方から高い方に並べたときの真ん中の値です。平均所得とは違います。
1992年は549万円、2022年は405万円、30年間で約140万円減少しています。
次のページは ■正規・非正規の賃金格差 非正規増加の背景は■正規・非正規の賃金格差 非正規増加の背景は
正規雇用と非正規雇用の割合は、正規雇用は約6割、非正規雇用は約4割です。
年代別に見た正規雇用と非正規雇用の賃金の差です。正規雇用は年齢が上がるにつれ賃金が上がる一方、非正規雇用は賃金がほぼ横ばいのため、20〜24歳では、月収で約3万4000円の差ですが、55〜59歳では、約18万3000円の差です。
「非正規雇用の増大は小泉政権の構造改革から。本来、企業経営の改革を行い、賃上げも進めた上で雇用規制を緩和する流れだったはずが、改革は進まず規制だけ緩和された」 実際、派遣社員数の推移は、1999年小渕内閣で一部の業種に限り可能だった派遣が原則自由化となった時が、28万人でした。その後、2003年小泉内閣で製造業への派遣も解禁となり、派遣社員が急増し、2023年には156万人になっています。
次のページは ■富裕層・超富裕層…世帯数&純金融資産ともに増加■富裕層・超富裕層…世帯数&純金融資産ともに増加
富裕層や超富裕層と呼ばれる人たちが増えています。
2021年で、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の『富裕層』は、139万5000世帯。
5億円以上の『超富裕層』は、9万世帯です。
富裕層と超富裕層の純金融資産は、2013年に241兆円が、2021年には364兆円。
『アベノミクス』が始まった2013年以降、増加し続けています。
野村総合研究所によると、
『株式などの資産価格の上昇により、富裕層・超富裕層の保有資産額が増大したことに加え、金融資産を運用している準富裕層の一部が富裕層に、そして富裕層の一部が超富裕層に移行したため』ということです。
■『応能負担』の原則 “富める者”への増税は可能?
石破総理は、総裁選前の先月2日、
「一部の人たちはすごく豊かになった。経済が成長したと言うのかもしれないが、大勢の人の犠牲の上に成り立っている社会って何ですか?これって強い経済ですか?」と疑問を述べ、金融所得課税の強化について、「実行したい」としていました。
年間所得が増えていくと、所得税の負担率も上がっていきます。
しかし、1億円を超えると、所得税の負担率が下がっていきます。これが『1億円の壁』です。
自民党総裁選中には、石破総理は税の『応能負担』の原則を掲げ、「法人税はまだ引き上げる余地がある」「所得税を負担する能力のある方には、ご負担をお願いする余地が多分にある」と発言していました。 しかし、総裁に選ばれた後、初めての取引で、日経平均株価の下げ幅が一時2000円を超え“石破ショック”と呼ばれました。 次のページは ■「格差是正・経済政策」各党の公約
■「格差是正・経済政策」各党の公約
格差是正、経済政策について各党の公約です。 自由民主党「正規・非正規雇用の格差を是正するため、同一労働同一賃金を徹底させる」 公明党
「非正規雇用労働者と正規雇用労働者との間にある、不合理な待遇差を解消する」 立憲民主党
「希望すれば正規雇用で働けるよう契約社員、派遣労働の抜本改革などを実現する」 日本維新の会
「年功序列型の職能給から、『同一労働同一賃金』を前提とする職務給への転換を促進する」 共産党
「『非正規ワーカー待遇改善法』で労働条件改善と正規雇用化、ジェンダー平等をすすめる」 国民民主党
「正規雇用を促進するとともに低所得者等の社会保険料負担を軽減する」 れいわ新選組
「仕事内容が同じなら賃金、福利厚生、その他の待遇は、正社員か非正社員かにかかわらず同一とする」 社民党
「非正規雇用の正規雇用への転換を促進し雇用の安定を実現する」 参政党
「まずは減税。いろんな税金があるが、下げられるものは下げて国民の負担率を下げたい」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年10月23日放送分より)
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