27日投開票の衆院選は、自民、公明両党が定数465の過半数233議席を確保できるかどうかが最大の焦点だ。自民党が非公認候補側に2000万円を支給していたことが選挙戦最終盤に発覚。「政治とカネ」の問題に世論の不信が渦巻き、与党内で危機感が高まっている。
与党の公示前勢力は、自民党256、公明党32の計288議席。石破茂首相は勝敗ラインを「自公で過半数」に設定している。これに対し、立憲民主党の野田佳彦代表は、自民派閥裏金事件を厳しく追及。与党過半数割れを目標に掲げる。
自民は2012年以降、14、17、21年の衆院選で単独過半数を確保。仮に、自民が24議席以上減らせば単独過半数割れとなり、自公で56議席以上減らすと与党で過半数を下回る。
自民は最近4回の衆院選で、衆院の全常任委員会の委員長ポストと委員の半数を確保する「安定多数」と、全委員会で過半数の委員を確保する「絶対安定多数」の議席を上回った。今回の衆院選では、安定多数は244議席、絶対安定多数は261議席だ。
自民内では、先の総裁選で局面の転換を図り、衆院選の勝利を目指す思惑があった。しかし、衆院解散時期などに関する首相発言の「変節」が批判され、非公認候補側への2000万円支給が自民への逆風を強めた格好だ。与党が過半数を確保した場合でも、首相の求心力に影響する可能性がある。
与党過半数割れを掲げる野党各党も、自公に代わる政権の枠組みを明らかにはしていない。03年衆院選で旧民主党は177議席を獲得し、09年の政権交代への機運を醸成した。立民ではこうした経緯も念頭に、150議席程度まで上積みできれば、「主導権を確保できる」との声が上がる。
自民が公約で掲げる憲法改正では、国会発議に必要な議席は、総定数の3分の2に当たる310。公示前勢力では、自民、公明両党と改憲に前向きな日本維新の会、国民民主党を合わせて上回っており、改憲勢力の獲得議席も注目だ。
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