保守王国だった福井2区では、旧安倍派幹部「5人衆」の一人で、自民党から非公認となった前職の高木毅氏(68)が9選を阻まれた。福井県敦賀市の選挙事務所は落選が決まると、重苦しい雰囲気に包まれた。
福井2区は、高市早苗氏の夫で、無所属元職の山本拓氏(72)も立候補していた。保守は分裂したが、それが影響しないほど有権者が抱える裏金事件への怒りは強く、野党の候補者が当選した。
「高木さんが好きか嫌いかではない。高木さんの仕事(の仕方)が好きか嫌いかで判断してください」。衆院選が公示された15日、県議会で議長を務める宮本俊氏は福井県越前市役所前でマイクを手に持ち、そう声を張り上げた。不人気を前提として、高木氏を応援していた。
保守王国なのに有権者は冷ややかに見ていた。「高木には一回、落ちてもらわんと」。高木氏が高校の同級生だという男性(68)はそう話した。
自民の県連内部でも、高木氏は不評だった。ある幹部は「高木氏を擁護する声は1割もない。公認では『県連が持たないのでは』と思うほどで、党本部が非公認を決めてくれて、皆ほっとしたのが本音ではないか」と明かす。こうした状況もあり、高木氏は最後まで劣勢を挽回できなかった。
一方、高木氏の非公認が決まった途端に「保守票の受け皿に」と突如名乗りを上げたのが、県連会長を務めたこともある山本氏だった。だが、自民支持者らに根強い人気を誇る高市氏は応援に来ず、票は伸び悩んだ。【高橋隆輔、古川幸奈】
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