自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けた法改正の議論が国会でスタートしたが、外国人や外国法人によるパーティー券購入の是非に関する議論が低調だ。国政が外国勢力の影響を受ける事態を防ぐため、外国人からの政治献金は禁止される一方で、パーティー券購入は認められている。「抜け穴」だとの指摘があり、今後の与野党協議で論点となる可能性もある。
「外国人や外国法人へのパーティー券販売のあり方についても検討項目として掲げている。あるべき法律の規制を自民として議論していく」
岸田文雄首相(自民総裁)は24日の参院予算委員会で、自民が取りまとめた政治改革案について、こう強調した。
ただ、案では具体的な規制策までが示されたわけではなく、党内からは不満の声も出る。若手議員は「禁止一択しかないだろう」と反発。幹部の1人も「保守層の支持を取り付けるため、さっさとやればいい」と語気を強める。
各党はすでに政治改革案を示しているが、唯一、外国人らによるパーティー券購入禁止を打ち出しているのは国民民主党だ。外国企業でも5年以上継続して日本国内で上場している法人を除き、購入を禁止するとの内容で、同党幹部は「党の肝いりとして力を入れていきたい」と意気込む。
立憲民主党は政治資金パーティー自体の開催禁止を主張する。日本維新の会や公明党、共産党の改革案には、外国人らのパーティー券購入に関する記述はない。
そもそも、外国人らのパーティー券購入が認められてきたのは、形式上は催しへの「対価」であり、寄付とは異なると位置付けられてきたからだ。ただ、政治家への経済支援の色が濃く、「献金と変わらない」(ベテラン秘書)のが実態だ。
一方、外国人や外国法人を厳密に定義する難しさを指摘する声もある。自民の閣僚経験者は「永住者もパーティー券を買ってはダメなのか。外国人が社長を務めている日本企業はどうなのか」と疑問を呈した上で、「根の深い問題だからこそ、丁寧に議論しなければいけない」と語った。(竹之内秀介)
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