敗戦の弁を述べ、支持者らに頭を下げる衛藤征士郎氏(右)=大分県佐伯市で2024年10月27日午後9時半、吉田航太撮影

 大分2区は、旧安倍派最高顧問で14選を目指した自民前職、衛藤征士郎氏(83)の落選が確実となった。裏金事件で政治資金収支報告書に1070万円の不記載があった衛藤氏は、党役職停止半年の処分を受け、比例への重複立候補も認められておらず、1983年の初当選以来初めて議席を失った。

 衛藤氏は午後9時半ごろ、支援者らが集まる大分県佐伯市のホテルに姿を現し「敗北の責任は全て私の努力不足。皆様の期待に応えられなかったことをおわびします」と述べた。

 参院議員1期、衆院議員13期の計約47年間国政に身を置き、衆院副議長や防衛庁長官を歴任するなど経験豊富だったが、裏金事件では後手に回った。派閥の疑惑が報じられても自身の関与を説明せず、収支報告書の不記載を公表するまで約2カ月もかかった。選挙戦では「迷惑をかけた」と陳謝し理解を求めたが、支持者離れは防げなかった。

 選挙区の構図の変化も衛藤氏にとってマイナスに作用した。これまでは野党候補との事実上の一騎打ちが続いたが、今回は前回選挙にも出馬した立憲前職の吉川元氏(58)に加え、前大分県知事を父に持ち保守を掲げる無所属新人の広瀬建氏(50)が立候補し、三つどもえの争いとなった。

 吉川氏が裏金事件による自民批判を追い風にする一方、若さをアピールする広瀬氏は「保守層の受け皿」であることを強調。衛藤氏の支持層を切り崩し、序盤から2人を中心とする選挙戦となった。【李英浩】

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