福岡11区では、8選を目指した自民前職の武田良太氏(56)が維新新人の村上智信氏(55)に惜敗し、落選が確実となった。
選挙区内の15市町村に張り巡らせた強固な後援会組織を背景に、初当選した2003年以降、7期連続で勝利を重ねてきた武田氏だが、今回は裏金事件で党の役職停止1年の処分を受け、小選挙区単独での厳しい戦いを強いられた。
公示後に報道各社の情勢調査で接戦が伝えられると、陣営は各地区で緊急の選対会議を開き引き締めを図った。当初は他候補の応援のため地元を離れる予定だった武田氏も急きょスケジュールを変更し、地元での街頭演説を繰り返した。選挙戦中盤には、かつて11区で4度争った自民の元衆院議員、山本幸三氏も応援に駆け付けて支援を呼びかけた。
「経年劣化した古い体質と決別し、生まれ変わる」。武田氏は選挙戦でそう訴えたが、裏金事件への有権者の怒りと自民への逆風は想定以上だった。「クリーンな政治」を訴えた村上氏が野党支持層や無党派層だけでなく、一部自民支持層も取り込み、政権批判票の受け皿となった。
武田氏の地盤である田川市では、23年の市長選で自民の推薦候補が落選。これまでは田川市郡の首長が各地区の選対本部長として武田氏を全面支援してきたが、今回は田川市長が村上氏支持に回ったことも大きかった。【松本昌樹】
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