国会議事堂=平田明浩撮影

 衆院選で躍進し、自公政権を過半数割れに追い込んだ立憲民主党や国民民主党など野党各党では28日、11月上中旬にも開かれる見通しの特別国会での首相指名選挙をめぐる発言が相次いだ。

 「野党各党にはさまざまな連携や協力のお願いを丁寧に呼び掛けていく。時間が無い中での優先事項は、特別国会への対応の協議や調整だ」。議席を50増の148まで増やした最大野党・立憲の小川淳也幹事長は28日午前の執行役員会後、記者団に、特別国会での首相指名選挙で野田佳彦代表への投票協力を野党各党に呼び掛けていく考えを表明した。

 特別国会では、首相指名選挙が実施され、新首相が選ばれる。だが、自民・公明両党の議席は過半数割れしており、石破茂首相を選出するためには自公以外の野党勢力の協力が必要となる。このため、立憲や国民民主を支援する連合幹部は「自民が国民民主に働きかけることはありうるだろう」と警戒する。

 逆に野党側が一枚岩となれば首相を選出することも不可能ではない。立憲は、通常国会で岸田文雄前内閣への不信任案提出に協力した国民民主、日本維新の会、共産党などへの協力要請を想定する。立憲の役員会ではメンバーから「公明の出方を試してはどうか」との意見もあがり、石井啓一代表が落選するなど苦境にある公明に協力を呼び掛けて、自公の連立関係にくさびを打つ案も提案されたという。

 一方、議席数を4倍増の28とした国民民主の玉木雄一郎代表は28日も首相指名選挙では自らの名前を書くと表明した。一方で、出演したTBS番組では「いろんな協議を幹部が各党と始めている。自民からもそういう話は既にある」と説明。「我々や支援いただいた方々が納得できる理屈があればいろんな形はありうる」と述べ、政策的な合意があれば、決選投票で自民の候補に投票する可能性にも含みを持たせた。

 議席数を公示前の43から38に減らした維新の吉村洋文共同代表は28日、連立政権入りや他党との連携については、衆院選など大型選挙後に実施予定の代表選で新たに選出された代表のもとで判断すべきだとの認識を示した。その後に出演した読売テレビ番組では「首相指名選挙で立憲の代表の名前を書くとか、自民の代表を書くっていうのは、僕はちょっと違う」と語った。

 共産の田村智子委員長は、首相指名選挙での対応について「自公政権は駄目だということが今回の選挙の結果だ。そういう時に各党がどういう姿勢を示すかが試されている」と述べ、自公以外の野党党首に投票する可能性も示唆した。公示前勢力の3議席から9議席に伸ばしたれいわ新選組の山本太郎代表は記者会見で対応を問われ「まだ決められない」と回答。「一緒にやっていけるというものがなければなかなか難しい」とも語った。【中村紬葵、遠藤修平、東久保逸夫】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。