10月27日に投開票された衆議院選挙で与党は公示前から議席を大きく減らし、2009年以来の過半数割れとなりました。一方、沖縄選挙区では、普天間基地の辺野古移設に反対するオール沖縄勢力と政府与党が支援する候補者が議席を分け合う結果となりました。

沖縄1区では、オール沖縄勢力が支援する共産党の赤嶺政賢さんが4万9838票を獲得し4回連続で当選を果たしました。

▽共産・赤嶺政賢さん:
「オール沖縄の皆さんの力でですね」「勝ち取っていま新たな決意に燃えているところです」

沖縄2区では、社民党の新垣邦男さんが6万1216票を獲得し再選を果たしました。

▽社民・新垣邦男さん:
「県民の思いをしっかり国政に届けていく、当然辺野古の新基地問題について私は当初からこれはもうだめだと思っていますので、断固これは反対していきたいと思っています」

沖縄3区は大接戦の末、自民党の島尻安伊子さんが7万3226票を獲得し、立憲民主党の屋良朝博さんに約1800票の僅差で競り勝ちました。

▽自民・島尻安伊子さん:
「政治とカネの問題についてかなりご批判があるというのは感じておりました」「(有権者から)頑張れと言うふうに言って頂いたのかなって思います」

沖縄4区では、自民党の西銘恒三郎さんが6万1289票を獲得し7期目の当選を果たしました。

▽自民・西銘恒三郎さん:
「大変厳しい中、当確が出たのというのは本当に嬉しく思います」「今一度、原点に立ち返って頑張らないといけない思いでいっぱいです」

自民党の国場幸之助さんと宮崎政久さん、立憲民主党の屋良朝博さん、れいわ新選組の山川仁さんが比例復活で当選しました。

【記者解説】
▽小林美沙希キャスター:
ここからは取材に当たっている與古田遼記者とお伝えします。結果は、前回と同様にオール沖縄勢力と自公勢力がそれぞれ2議席ずつ分け合う結果となりましたね。

▽與古田遼記者:
2区の社民・新垣邦男さんと4区の自民・西銘恒三郎さんは、公示後の情勢調査で他の候補をリードし手堅い選挙戦を展開しました。一方、1区と3区は終盤にかけて大接戦が伝えられていました。

▽小林美沙希キャスター:
その1区は共産・赤嶺政賢さんが自民・国場幸之助さんなどを抑え、共産党の小選挙区の唯一の議席を維持しましたね。

▽與古田遼記者:
赤嶺さんはオール沖縄勢力の一員として、普天間基地の辺野古移設反対や日米地位協定の改定、消費税の5%減税などを訴えました。また、自民党の裏金問題を強く批判し、無党派層への支持を広げました。一方、国場さんは那覇市の知念市長とセット戦術で新たな支持層の掘り起こしを狙いましたが、無所属で出馬した下地幹郎さんに一部保守票が流れたことで票をまとめられず、議席獲得とはなりませんでした。

▽小林美沙希キャスター:
知事を支えるオール沖縄勢力にとっても重要な一議席を死守した恰好ですね。

▽與古田遼記者:
赤嶺さんはオール沖縄勢力の結束を強めていくと意気込んでいます。

▽共産・赤嶺政賢さん:
「オール沖縄は地下水脈で沖縄の歴史で県民が結びついているという思いがありますから」「私たちの共有している歴史2013年の建白書に基づいて団結していく道をこれからも一生懸命やっていきたいと思います」

▽與古田遼記者:
ただ、今回は自民党の裏金問題で国場さんに逆風が吹いたこともあり、オール沖縄が求心力を高めたとは言えません。公示直前にれいわ新選組が候補者に動いた経緯もあり、政党間の連携を巡る課題も浮き彫りとなりました。

▽小林美沙希キャスター:
続いてもう一つの激戦区沖縄3区です。当選した自民党の島尻安伊子さんと立憲民主党の屋良さんとの票差は約1800票でした。

▽與古田遼記者:
事実上の一騎打ちとなった3区で、島尻さんは子どもの貧困対策や振興策を掲げました。菅元総理や小泉進次郎議員が応援に駆け付けるなど、政府とのパイプをアピールし、企業や組織票の引き締めを図りました。当初は島尻さん優勢かと見られていましたが、終盤にかけて屋良さんが激しく追い上げ、大接戦となりました。自民党候補対、立憲民主党候補の事実上の一騎打ちとなったことで裏金問題が影響したと両候補とも話していました。

▽自民・島尻安伊子さん:
「政治とカネのところの自民党に対するネガティブなサイレントマジョリティという所の大きさがずっと計り知れなくて選挙中ずっと」「影を落としていたというか自分の中でそれがありました」

▽立憲・屋良朝博さん:
「裏金の問題も風としてはあったと思いますけど、今の自民党ではまだまだ足りないと確信を持っていますので、そこはきっちりと議席を頂きましたので国会の場に移して論戦を続けていきたい」

▽小林美沙希キャスター:
選挙区は自民とオール沖縄勢力がそれぞれ2議席を維持しました。2025年は宮古島市、浦添市、うるま市で市長選、そして参議院選挙が予定されています。県内政局への影響や見通しはどうみていますか。

▽與古田遼記者:
自公勢力は2024年6月の県議選の勢いを活かせなかったのは大きな痛手で、自公過半数割れという状況もあり、影響を早期に収束できるか見通せていません。

一方、発足から10年を迎えたオール沖縄勢力も組織間の連携に課題が山積しています。分裂選挙となった4区では、候補者調整の枠組みを離脱したれいわ新選組の山川仁さんが比例復活しました。次の衆院選での候補者調整で大きな火種となるのは明白です。辺野古移設阻止に手詰まり感が漂うなかで取り組む政策課題の設定など共闘の枠組みを再構築すべきとの声は組織内からも上がっています。玉城知事のリーダーシップも問われます。

▽玉城知事:
1区2区は従来の牙城を死守したという意味でも、県民の非常に複雑な感情の中でも守るべきところは守るべきところであるというような投票行動も見られたのではないかと受け止めています。

▽小林美沙希キャスター:
ところで、今回の衆院選の投票率は前回を4.94ポイント下回る49.96%で過去最低となりました。投票所の入場券が間に合わないなど、超短期決戦が大きな要因です。ただ、有権者の政治参加への関心の低さも課題です。選挙は私たち有権者が政治に対する意思を示す機会ですから、その大切な権利をぜひ行使してほしいと思います。

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