米連邦議会の上下両院合同会議で演説する岸田首相=11日、ワシントン(共同)

【ワシントン=永原慎吾】岸田文雄首相は11日午前(日本時間12日未明)、米連邦議会上下両院合同会議で、「未来に向けて~われわれのグローバル・パートナーシップ」と題した演説を行った。日本の首相としては2015年の安倍晋三元首相以来9年ぶり。首相は米国の「内向き志向」が指摘されていることを踏まえ、「世界は米国が引き続き国際問題で中心的な役割を果たし続けることを必要としている」と呼びかけた。

演説では、威圧的な動きを強める中国やウクライナ侵略を続けるロシアを念頭に、「米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面している。私たちとは全く異なる価値観や原則を持つ主体からの挑戦だ」と指摘した上で「自由と民主主義は現在、世界中で脅威にさらされている」と訴えた。

特に中国の対外的な姿勢や軍事動向を踏まえ、「これまでにない最大の戦略的な挑戦をもたらしている」と警鐘を鳴らした。権威主義国での表現の自由の抑圧に言及し、「ソーシャルメディアは検閲され、監視され、コントロールされている」と危機感を示した。

その上で自由や民主主義、法の支配について「これらの価値を守ることは日米両国、そして世界中の未来世代を守るための大義であり、利益でもある」と強調した。

首相はまた、「日本は長い年月をかけて変わってきた。第2次世界大戦の荒廃から立ち直った控えめな同盟国から外の世界に目を向け、強く、コミットした同盟国へと自らを変革してきた」と説明。日本が2022年に、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有や、防衛費の国内総生産(GDP)比2%への増額を決めたことにも言及した。

日米が国際月探査「アルテミス計画」で、日本人の宇宙飛行士2人の月面着陸に合意したことに触れ、「このような協力を将来にわたって築いていく」と意欲を示した。

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