1

 今回の衆議院選挙では、自民・公明の与党が告示前から大きく議席を減らした一方で、野党側の立憲や国民民主が躍進した。与党の議席が15年ぶりに過半数を割り込む大敗で、自民党の小泉進次郎選対委員長は、就任わずか1カ月での退任となった。

【映像】大空幸星氏に、カンニング竹山「メディア対応が下手だった」

 そんな選挙に、自民党公認・公明党推薦で東京15区から出馬したのが、大空幸星氏(25)だ。今回の最年少候補者で、演説では「教育や福祉や医療や介護や年金のこと、この国の未来のことを議論しなければいけない。政治とカネのことだけ追及しているのであれば、テレビのコメンテーターでいい」などとアピールした。

 孤独や孤立に寄り添うNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の経験から、“命を守る政治”を訴えた結果、小選挙区では接戦の末に落選し、比例で復活当選した。これまで大空氏がコメンテーターを務めてきた『ABEMA Prime』では、25歳で挑んだ「初めての選挙」で感じたことを聞いた。

■大空幸星氏の選挙戦

 大空氏が立候補した東京15区では、立憲・酒井菜摘氏(6万6791票)が当選し、無所属・須藤元気氏(6万5666票)、大空氏(6万2771票)、無所属・金沢結衣氏(3万2442票)、共産・小堤東氏(1万5049票)の結果になった。大空氏は自民内で惜敗率4位となり、復活当選した。

 選挙戦では、政策として「命を守る」「国を守る」「未来を拓く」を挙げ、防災・減災や、孤独・孤立、自殺などの対策を掲げた。「700人近い国会議員の中で20代は1人もいない」と若さをアピールし、自民党の裏金問題などのイメージを刷新する「象徴」「希望」になることを掲げた。

 そもそも、なぜ選挙に出馬したのか。大空氏は「NPOの仕事に限界を感じた。相談支援は対症療法だ。悩みや不安を抱えた人を支援していくが、セーフティネットが多い現状では、悩みや不安を抱える人が増えていく」と語る。

 民間からの社会課題の解決に努めてきたが、そこで感じた壁政治家以外は「ラストワンマイル問題に必ず出会う」だという。指摘する。「どれだけ一生懸命、政策提言しても、最後は議員がやる。民間人は国会に法案を提出できない。孤独・孤立対策に民間の立場で関与したが、最後は時の為政者が実現する。自分も現場を分かっている若い人たちを代弁できる議員がいたら応援していた。現実とのギャップを感じた」と胸中を語る。

 加えて、コメンテーターの仕事への限界も感じていたという。「政治家は秘書やスタッフなど何百人もの人生を背負っている。言論空間にも存在意義があるが、私個人は嫌になった。自分も政治批判で問題提起をしたつもりだったが、『なんで自分は言ってるだけなんだろう』と思っていた」。

■カンニング竹山「メディア対応が下手だった」

 “政治家・大空幸星”に対しては批判も多い。モデルでラジオナビゲーターの長谷川ミラは、同世代のコメンテーターとして何度も共演経験がある立場から、「多くの人が見ている“大空幸星”は、忖度なしでガンガン詰めていく。選挙戦ではそれが見えなくてショックだった。人間味がないように感じてしまった」と、イメージの違いに言及した。

 これらの印象について、大空氏は「私の気持ちは何も揺らいでいない」と否定する。「個人の考えや、社会問題に対する取り組みは、1ミリも変わっていない。コメンテーターには、誰にでも言えることを、ふわっと軟着陸させる人もいれば、とにかくぶつかっていく人もいる。自分は議論を通して、問題を前に進めることに、コメンテーターの存在意義を感じていた」。

 その上で、職業による役割の違いを説明する。「コメンテーターは私人だから、違う意見の人にも対処する必要がない。しかし公職を目指す者は、自分に投票しなかった人や、相手陣営の人々の生活にも、責任を負わなくてはいけない。思いは変わらないが、立場が違うため、表現やアプローチは変わってくる」と主張した。

 この意見に、カンニング竹山は「コメンテーターは、何も変えられない」と賛同しつつ、「今回はメディア対応が下手だった」と断言する。「これまでの姿を見て、『大空幸星は忖度なしに行く』と思っていたが、『裏にはいろいろ大人がいて、言えないこともあるのだろうな』と感じさせてしまったところが、選挙戦においてマイナスだった」。

 大空氏自身は「タレントではなく文化人で、『知っている人もいない』と思っていたが、『裏切られた』と言う人が多くてびっくりした。」と語った。「(街頭演説は)多いときで1日30回。6万人以上に投票してもらい、比例で当選させていただいた、重い責任がある。昔みたいに好き勝手言うのが正しいのか、まだ答えが見つからない」。

■選択的夫婦別姓に「賛成。何も揺らいでない」

 朝日新聞の候補者調査では、「夫婦が望む場合には、結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の名字を称することを、法律で認めるべきだ」「男性同士、女性同士の結婚を法律で認めるべきだ」のどちらも、大空氏は無回答とした。

 YouTubeチャンネル「ReHacQ」の東京15区候補者討論会では、立憲・酒井候補の「選択的夫婦別姓と同性婚への質問に回答していない。そうしないと勝てないと思ってるのか? それを誠実だと思っているのか?」との問いに、大空候補が「まさに政治家の発想。イシュー化して様々な意見が乱立することで、本来進むべきものも進まないこともある」と答えて話題になった。

 これらの回答について、大空氏は「物事を前に進めることが最優先だ」との考えを述べる。「どれだけキレイごとを言っても、変わらなければ意味がない。選択的夫婦別姓も同性婚も、何十年も議論してきたが変わっていない。賛成派と反対派の二項対立で、互いの意見が先鋭化してしまうと議論が進まない。黒か白かではなく、グレーゾーンだから進められる問題がある」。

 有権者が「○か×か」を問う以前に、メディアが賛成・反対を明言させている側面もあるとして、「本来であれば、妥協の余地などを幅広く議論できるのが、民主主義の多様性だ。それができずに議論が矮小化する構造がある」と指摘する。

 では大空氏個人としては、選択的夫婦別姓をどう考えているのか。「これまでも言っている通り、私は賛成だ。そこは何も揺らいでいない」と明言した。

 SNSでアンチコメントが増えるにつれ、内心では「この時代に政治家になるメリットは、どこにあるのだろう」と考えながら選挙してきたという。「それでも私は、政治家が変わらないと、現実的に進まない政策がいっぱいあると考えている」。

(『ABEMA Prime』より)

・【映像】大空幸星氏に、カンニング竹山「メディア対応が下手だった」 ・【映像】東京15区 大空幸星インタビュー・「性行為できない」結婚6年目のクリオネさん(30代)・浮気や不倫とは違う?夫・妻・妻の彼氏の新たな関係性・【映像】“若者の孤独死” つながり希薄でセルフネグレクトも

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。