国家公務員のほうが国民よりも、マイナ保険証を使っていなかったことが分かった。しかも、その利用率は9月時点でも13.58%という低水準だった。 政府は、12月2日で現行の健康保険証を廃止する方針だが、マイナ保険証を推進する側のほうが低い利用率とあっては、国民の理解も得られないのでは…。(マイナ保険証取材班) 【関連記事】衆院選でマイナ保険証めぐる公約「考慮した」人が多数 紙の保険証廃止まで1カ月<ニュースあなた発アンケート>
◆国家公務員は13.58%、国民全体は13.87%
厚生労働省が、国家公務員が加入する国家公務員共済組合の9月時点の利用率を公表した。 国家公務員の9月の利用率は、前回公表した3月時点(5.73%)から7.85ポイント増と、倍以上にはなった。それでも現行の保険証廃止を目前に控えながら、依然として利用は低迷したままだ。 過去2回の国民全体の利用率との比較では、わずかに国家公務員のほうが上回っていた。しかし、今回の9月の利用率では、初めて国民全体の利用率(13.87%)を下回る結果となった。◆旗振り役の厚労省でも20%に届かず
組合別で見ると、マイナ保険証の旗振り役である厚労省(本省を含む第一共済組合)が最も高かったが、それでも19.68%と2割に届いていなかった。 次いで、総務省が19.42%、財務省が17.32%と続いた。 法務省、国土交通省、防衛省、文部科学省、外務省は国民全体の利用率よりも低かった。最低は外務省の10.53%だった。◆登録率は国民全体よりも高い66.8%
国家公務員のマイナ保険証の登録状況も明らかになった。 厚労省の資料によると、国家公務員の登録率は9月時点で66.8%だった。国民全体の登録率61.07%を上回った。 省庁別では、登録率も厚労省(本省を含む第一共済組合)が73.7%で最も高かった。最低だった外務省は、国民全体の登録率を大幅に下回る52.0%だった。◆「率先して使って」とげきを飛ばしていたが…
厚労省が今年2月、初めて国家公務員の利用率(2023年11月時点で4.36%)を公表したときには、当時の武見敬三厚労相が「国家公務員もっと頑張らなくてはなりません。これではまだ低すぎる。もっと率先して使っていただくように働きかける必要性を改めて認識しました」と述べていた。厚生労働省内のエレベーターに掲示されたマイナ保険証の利用を呼びかけるポスター=東京・霞ケ関で
厚労省では現在、省内のエレベーターに「マイナンバーカードを次回からご利用ください」と呼びかけるポスターを掲示するなどして、職員の利用も促している。◆廃止まで1カ月、アンケートでは反対多数
12月2日の現行保険証の廃止を巡っては、いまだに不安や疑問の声が多く聞かれる。 東京新聞が10月28~31日、「ニュースあなた発」で読者522人に行ったアンケートでは、9割が保険証廃止に否定的な意見だった。 政府は12月廃止の姿勢を崩しておらず、福岡資麿(たかまろ)厚生労働相は11月1日の会見で、「マイナ保険証のメリットをいち早く多くの国民に実感してもらえるよう、利用促進に取り組みたい」と話した。 利用率は、病院や薬局などで受診した患者の情報をオンラインで確認する際、マイナ保険証を使った割合を示している。 ◇ 東京新聞ではマイナ保険証に関する情報やご意見を募集しています。メールは tdigital@chunichi.co.jp、郵便は〒100-8505(住所不要)東京新聞デジタル編集部「マイナ保険証取材班」へ。 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。