河村市政の刷新か、継続か――。衆院選に出馬し、当選した河村たかし前名古屋市長(76)の自動失職に伴う同市長選が10日、告示される。15年余りの河村市政への評価が最大の争点で過去最多の8人が立候補する見通し。河村氏と対立してきた市議会の主要会派が相乗り支援する前参院議員の大塚耕平氏(65)と、河村氏から後継指名を受け日本保守党が推薦する元副市長、広沢一郎氏(60)による争いが選挙戦の中心となりそうだ。【真貝恒平】
「名古屋をアップデートしたい」。昨年6月に立候補を表明し、今年4月に代表代行を務めていた国民民主党を離党した大塚氏は、市長選への意気込みをこう語る。日銀職員を経て、2001年の参院選愛知選挙区に民主党(当時)から出馬し初当選。4期目途中で参院議員を辞職した。
自民、立憲民主、国民民主、公明各党の推薦を受ける大塚氏。市議会の国民民主と立憲の議員でつくる民主市議団がいち早く支援を表明した。最大会派の自民党市議団は10月に前回市長選で河村氏と争った市議を単独候補として擁立しようとしたが断念し、6日に大塚氏の支援を決めた。
主要政党が推薦を決めたほか、愛知県の大村秀章知事(64)も「全面的に、かつ全力で応援させていただく」と支援を表明。大塚氏は河村市政を「対立と迷走の15年」と批判し、「対立から対話へ」を公約に掲げる。
一方、河村市政の継承を訴えるのが広沢氏だ。先の衆院選で3議席を獲得し、国政政党化で勢いに乗る日本保守党の事務局次長を務め、名古屋支部長でもある。
4日の名古屋市中心部の久屋大通公園。「たかしからイチローへ」と銘打って実施された「継承式」には、河村氏のほか、同党代表で作家の百田尚樹氏(68)、同党事務総長の有本香氏(62)が応援に駆けつけた。
広沢氏は11~14年に愛知県議、河村氏が代表を務める地域政党「減税日本」幹事長などを歴任。21年12月までの4年間、副市長を務め、河村氏の「右腕」として支えてきた。「河村さんの品の悪いところ以外まるごと引き継いでいく」と笑いを取りながら、市民税減税や市長給与年800万円の継続などを強調した。
市長選では大塚、広沢両氏のほか、いずれも無所属で、政治団体「緑の党・東海」共同代表の尾形慶子氏(67)=共産党推薦=ら6人が立候補を表明している。投開票は24日。10月14日現在の選挙人名簿登録者数は189万2979人。
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