石破茂首相は、政党から政治家個人に支出され、使途が公開されてこなかった「政策活動費」について廃止する方針を固めた。複数の政権幹部が明らかにした。与野党で協議し、年内に政治資金規正法の再改正などの方向性を決める。一方、自民党は裏金問題に関与した議員に対し、収支報告書に不記載だった額の返金を求め、党が国庫などに寄付する検討に入った。
首相は11日、自民の両院議員総会に出席し、政策活動費の廃止を含め、政治資金を監視する第三者機関の創設などの政治改革について「年内に決着を図りたい」と述べた。首相は「国民の多くが政治とカネの問題について、いまだ納得していないという事実を厳粛に受け止めなければならない」と話し、裏金議員に国会の政治倫理審査会に出席するよう求める考えも示した。
自民は年間10億円規模の政策活動費を党幹部らに支出しているが、使途が一切公開されず「ブラックボックス」と批判されてきた。6月成立の改正政治資金規正法では、領収書を10年後に公開することなどが付則に盛り込まれたが、改革が不十分との意見が根強かった。
9月の自民総裁選では多くの候補が政策活動費の廃止を訴えたが、衆院選の自民公約は「将来的な廃止も念頭」とあいまいな表現にとどまり、公明党や野党各党と比べて改革に後ろ向きな印象が残った。
衆院選での大敗を受け、党内外から「けじめ」を求める声が強まり、党政治改革本部(渡海紀三朗本部長)で具体案を検討。政権幹部は「廃止に向けた具体案を作成中だ」と明かした。12日に改革本部会合を開き、対応を協議する。
寄付、自民党立て替え案
裏金議員の不記載額返金については、党が立て替える形で国庫や被災地に寄付する案を検討している。衆院選で落選した元議員も対象とする案も浮上している。近く幹部間で対応を詰めた上で、党総務会で決定する方針。年内にも手続きを終わらせたい考えだ。
自民が2月実施した調査では、裏金問題でパーティー券収入のキックバック(還流)や中抜きに関する不記載・誤記載があったのは85人で、総額5億7949万円に上った。【内田帆ノ佳、野間口陽】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。