オーストラリアを訪問中の中谷元防衛相は17日、ダーウィンで米国、豪州の国防相と会談した。共同声明を発出し、安全保障協力を巡る新たな協議体の設置や共同訓練の拡大で合意した。東・南シナ海への海洋進出を強める中国を念頭に3カ国で抑止力を高める。
オースティン米国防長官、マールズ豪副首相兼国防相と話し合った。新設する「日米豪防衛協議体」は中谷氏が提案した。多国間協力に消極的な恐れがあるトランプ次期米政権の発足を前に、日米豪の枠組みを継続させる狙いもある。
協議体に基づいて閣僚級協議を定期開催する。実務者協議、机上演習なども実施する。会談後の共同記者会見で中谷氏は「日米豪の防衛協力の実効性向上に寄与する」と語った。
米豪軍が毎年開く共同訓練に2025年から陸上自衛隊の水陸機動団が定期的に参加することも決めた。水機団は「日本版海兵隊」とも呼ばれ、離島が他国軍などに奪われると上陸して奪還する役割を担う。
オースティン氏は記者会見で「米海兵隊と協力関係を深めることを期待している」と述べた。マールズ氏も「3カ国の相互運用性を強化することができる」と強調した。
3カ国で情報共有や防空能力の強化も申し合わせた。27年に日米豪で初めて防空ミサイルの実射訓練をする。米英豪の安保協力枠組みAUKUS(オーカス)の先端技術分野での日本の将来的な協力についても継続して協議する方針を示した。
マールズ氏は同日、豪州海軍が調達を計画する次期フリゲート艦について、三菱重工業が建造する日本の「もがみ型」が選定候補に残ったとも明かした。2社が最終候補に絞られ、豪軍は25年に最終決定をくだす。
ダーウィンは豪州軍が基地を置くほか、米海兵隊部隊がローテーション配備されている。3カ国の防衛相は会談に先立ち米豪軍の装備を視察した。中谷氏は同日、オースティン氏、マールズ氏それぞれと個別会談もする。
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