石破茂氏=東京都千代田区で2019年5月、玉城達郎撮影

 石破茂首相は17日(日本時間18日)、訪問先のペルーの首都リマにある大統領府で、ボルアルテ大統領と約70分間会談した。重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化などで合意した共同声明と、政治、経済、安全保障など5分野での今後10年間の連携項目を盛り込んだ「ロードマップ」を発表。首相は一時停止していた日本入国の査証免除措置を再開する意向も表明した。

 ペルーは銅、亜鉛の生産量が世界2位、銀の埋蔵量は世界1位(いずれも2022年)を誇る鉱物資源国。特に銅は、住友金属鉱山など日系企業が参画する鉱山が複数あり、主要な調達先になっている。

 日本の首相のペルー訪問は8年ぶり。対面での首脳会談は7年ぶりだった。連携を深めることで、経済安全保障の強靱(きょうじん)化につなげる狙いがある。

 会談で首相は「ペルーは経済安全保障の観点からも日本にとって重要なパートナーだ」と述べ、一層の協力を呼びかけた。鉱山環境のモニタリングや不純物除去などの技術協力でも連携を深める。首相はペルーで多発する森林火災への対応として、日本製の消防車を供与することも伝達した。

 共同声明は「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」の維持強化や、「力によるあらゆる一方的な現状変更の試みへの反対」を明記。「海洋紛争を平和的に解決することの意義」も強調した。中国の名指しは避けた。ロードマップでは、外務次官級対話の開催や海上自衛隊とペルー海軍の協力強化なども盛り込んだ。

 両首脳は会談後、共同記者発表に臨んだ。首相は「基本的な原則を守る重要性を確認し、国際場裏でも一層連携していく」と強調。ボルアルテ氏は「相互補完的な経済も有しており、両国は大きな発展の可能性を秘めている」と語り、日本からの投資を呼びかけた。【リマ村尾哲】

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