少数与党となった自民党は、国民民主党・日本維新の会などと個別に政策協議を進める苦しい対応を迫られている。

「BSフジLIVE プライムニュース」では、維新・藤田文武幹事長と国民民主・榛葉賀津也幹事長を迎え、キャスティングボートを握る両党から見た現在と、今後の政局について議論した。

国民民主が自公から引き出した“焼き印”

竹俣紅キャスター:
衆院選で大きく議席を伸ばした国民民主党だが、11月11日に写真週刊誌が玉木代表の不倫デートを報道、代表はおおむね事実と認め謝罪した。榛葉幹事長は13日、党の倫理委員会に調査を委任。玉木代表は自身の進退についてインターネット番組で「103万の壁の問題が落ち着いたところで、倫理委員会の結論を踏まえ出処進退を判断したい」と言及した。

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榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
党幹事長としても心からのお詫びを申し上げたい。倫理委員会では竹詰仁倫理委員長のもと、事実関係のヒアリングを行っている。一方で、政策実現を進めるべき局面。103万円の壁、ガソリン税制がある。年が変われば統一地方選、参院選、都議選と続く。党員・サポーターや世論の声もしっかり考え判断したい。自分の出処進退は、最終的に玉木代表ご本人が判断されると思う。

竹俣紅キャスター:
国民民主は与党と連日実務者協議を重ね、2025年度税制改正の中で議論して103万の壁を引き上げること、ガソリン減税と自動車関係諸税全体の見直しに向けた検討を経済対策に明記することで合意。だが103万の壁の引き上げ幅については明記されず。また補正予算案は3党で協議し、年内成立を期すことで合意。要求は反映されたか。

榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
現段階では相当高いレベルの合意ができた。だがこれは単なるスタート。これから激しい交渉が始まる。経過をオープンにできているのは非常に健全なこと。従来の揚げ足をとる政治ではなく、まさに是々非々の政治へ向かう、日本政治の大きな分岐点。維新さんもぜひ丁々発止の議論に参加してほしい。

竹俣紅キャスター:
国民民主の古川税調会長は、議論が行き詰まっていた18日、「我々はまんじゅうを要求しているのであって、あんこがないのはまんじゅうと言わない」と批判した。

榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
まんじゅうは中にあんこがなければいけない。最初は皮だけで、ガソリン税や103万円の壁の突破が一切入っていなかった。次に中途半端なものが出てきて、あんこは入っているが甘みがないと。何度もやってようやく案ができた。そしてまんじゅうには焼き印が必要だ、「手取りを上げる」の文言を入れてくれと言った。それでは「メイド・イン・国民民主党」になってしまうという抵抗が相当あったが、我々の専売特許の言葉ではない。最後は自民党・公明党さんが懐深く焼き印を押してくれた。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
榛葉幹事長がおっしゃった交渉内容、私は素晴らしいと思う。ただ103万を178万にというのは税の話だが、その間に我々も相当言ってきた社会保険料に関わる130万の壁がある。ぜひ議論してほしい。またガソリン減税については、連合さんも暫定税率そのものを廃止という姿勢に変わったと思う。そこまで含め押し込んでいただければ、我々は全く反対しない。

企業・団体献金廃止に向けて野党は一致できるか

竹俣紅キャスター:
自民党は政治資金規正法の再改正に向けた基本方針をまとめた。「政策活動費の廃止」「外交など配慮が必要な支出(使途非公表)は第三者による監査を実施」「政治資金を監督する第三者機関の早期設置」など。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
我々がずっと言い続けている旧文通費(調査研究広報滞在費)、企業・団体献金まで踏み込むべき。

反町理キャスター:
10年後に領収書の公開をするという政策活動費についての合意はそのまま進める? 

藤田文武 日本維新の会幹事長:
ここには反省もある。結局、衆院選で我々は廃止を訴えた。自民総裁選でも候補者が廃止を訴えた。やはり選挙でカタをつけるべきだった。ちまちま言わずに廃止を我が党のスタンスとしても決めたということ。

榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
我々は旧文通費について全て公開している。公開しているのは維新・国民の二党だけ。野党第一党の立憲民主党さんも早く自主的にやってほしい。

反町理キャスター:
企業・団体献金の扱いは。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
完全廃止。自民党は元々ずっとやる気がないが、野党側は国民民主さんまで賛同いただければ可決できる。玉木さんはフジテレビの番組で野党が揃えばやると発言したが、違う番組では「全党が」という言い方に変えた。「自民党がやらないならやらない」と解釈できる。だが、野党側が合意できるものは全部通すべきだと思う。

榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
立憲さんも共産党さんも「政治団体を除く」と書いている。いろんな団体が政治団体を作ればそこ経由で資金が流れる。これをダメだと言い切り、野党が一致できるか。また企業が役員報酬を上積みして役員が個人献金する場合は余計に不透明化する。説明責任と透明性をどう担保するのか、それも含め早く与野党協議を開けということ。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
政治団体を隠れ蓑にした抜け道化の元栓を閉めたら、賛同していただけると。ただ何事にも抜け道がある。個人の意思がある以上個人の献金は許容されていいと思っている。だがモラルとして規制すべき。

基本理念の近い維新と国民民主は共闘できるか

反町理キャスター:
少数与党との協議に維新と国民民主はどう向き合うか。一対一か仲間を増やして向き合うか。

榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
各党等距離、是々非々で。税制改正とそれに関わる補正予算の話は我々が政策として訴え、選挙で民意を得た上での交渉だから一対一でやった。だが、ガソリン税などは共闘もできる。ただ維新さんがこのタイミングで代表選をやっている。代表が決まる12月1日は、国会が開会して代表質問をしている最中。共闘したくても話す相手が決まっていない。もったいない。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
その議論は前回の代表選時にもあった。私は他党のように任期制にすべきという考えだが、結党以来、選挙の責任を現執行部が問われるイベントをやることが党の健全化に繋がるという制度設計思想で続いてきた。

反町理キャスター:
それは「一生野党でいいです」という致命的なルールでは。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
今回我々は負けて大幅に議席数を減らしたが、与党が過半数を割ったことでキャスティングボートを握れるかもしれない数字になってしまった。皆さんの評価と実態の数字がずれる場合の判断が難しい。結局「野党システム」、政権に関与することが非常に難しい制度になっていることは問題で、党内でしっかり議論して決めなければ。

反町理キャスター:
対自民戦略における維新・国民民主の連携は。

榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
国会で活動する上では、安全保障、憲法、そしてエネルギーについてのベクトルは非常にしっくりくるものがあり、国会での連携はあり得る。維新の新体制がどうなるのかに尽きる。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
私と榛葉幹事長は非常に近しく、コミュニケーションできると思う。ただ立憲さんと一緒にできるかと言われれば、エネルギー、憲法、安全保障で考え方が違う党と選挙を一緒にはできない。国民さんは連合さんが背景にあり、雇用政策などで少し違う部分はあるが、特に民間労組の方々は維新の考えを理解していただいており、敵にするつもりはない。どの勢力に対しても真摯に向き合う。

榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
基本理念の一致が大事。立憲さんには我々とほぼ同じ考えの議員もたくさんいるが、もう連合推薦もいらない、共産党と一緒にやればいいという方々も少なからずいる。政権を取ることを目的に数合わせをしても政治は動かず、民主党政権時と同じになる。だから我々は国民民主党で踏ん張っている。

竹俣紅キャスター:
参院選に向けた候補の一本化は。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
安易に調整すべきではない。松井一郎前代表に厳しく言われたが、選挙では単純に票を足し合わせた数にならない。選挙に勝ちたいがためかというご批判は絶対にある。基本的には自党が主張する政策を出し、どの地域でも選択肢を示すのが正しいと思う。

竹俣紅キャスター:
臨時国会は11月28日から開かれる見通し。予算委員会の委員長には、野党議員として30年ぶりに立憲の安住淳氏が就任。理事会のポストは自民4人、立憲3人、維新1人、国民民主1人。自民が賛成する案件に維新か国民民主が乗るだけで理事会を通り、委員会の採決に繋がる可能性がある。

藤田文武 日本維新の会幹事長:
これまで予算委員会では何かあればみんな退場、審議拒否していた。委員長を出している立憲さんはそれができない。緊張感のある議論が必然的に生まれる。まずは政策ベースで一つ一つ緊張感のある議論を行い、新しい国会の意思決定のあり方に各議員が向き合う期間が必要。

榛葉賀津也 国民民主党幹事長:
維新・国民民主・立憲を合わせれば5人で自民に勝るが、自民が維新か国民民主の理解を得られれば通る。各党が無責任な揚げ足取りやパフォーマンスの委員会運営ができない、極めて緊張感のある状態。いい国会になると思う。
ただ忘れてはいけないのは、参議院は自民党が圧倒的過半数を持っていること。野党の法案は一本も通らない。試されるのは野党。憲法審査会では枝野幸男さんが委員長になったが、もし憲法審査会を動かさなかったり後ろ向きの議論ばかりやれば、やっぱり野党はこうかとなりかねない。
(「BSフジLIVEプライムニュース」11月20日放送)

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