今週から始まる国会を前に各党の駆け引きが繰り広げられる中、石破茂総理は政策活動費の廃止は承認しつつも、企業・団体献金の禁止は譲らなかった。その理由について自民党の元衆議院議員・宮崎謙介氏が解説した。
【映像】「自民党は25億円」各党の企業・団体献金額(図で解説)
先日、石破氏は「政策活動費というものは法律上、これは廃止をすること。この点について一致をみた」と前の国会で反対してきた政策活動費の廃止をあっさり認めた。
さらに旧文通費の使途公開、外国人などによるパーティー券購入を禁止、政治資金をチェックする第三者機関の設置など、これまで聞く耳を持たなかった野党の主張をさらりと受け入れる豹変ぶりを見せた。
しかし、そんな自民党がどうしても譲らなかったのが「企業・団体献金の禁止」だ。衆院選の勝利で勢いに乗る野党、立憲民主党・野田佳彦代表は企業・団体献金の禁止について「全く議論の俎上(そじょう)に載せないというところには、極めて私は疑問を持っている。ここは全然、認識がまだ違うのだなと思う」と発言した。
一方で、小泉進次郎元環境大臣は「企業が悪で個人献金が善だという立場はとらない」と語った。企業・団体献金に関しては完全スルーし、一歩も譲らない構えを見せている。
さらに、野党の中でも国民民主党・玉木雄一郎代表だけは「何度も申し上げているとおり、企業・団体献金が悪で個人献金が善だという立場は取らなくて」とコメント。ここでも国民民主がキャスティングボートを握っている。
政治ジャーナリストの青山和弘氏は「企業・団体献金を全面禁止すると個人献金に頼ることになる。ただ日本では個人献金の文化は乏しく、献金が大きく減ることが予想されるから。そうなると自民党議員のほとんどが今の秘書の数や事務所の態勢を維持できなくなるため、死活問題だ」と説明した。
宮崎氏は企業・団体献金を譲らない理由について「自民党の収入総額が249億円で、企業・団体献金が25億円」だとして「自民党だけ(他の党に比べて)大きな収入源なので譲れないという背景がある」と語った。
さらに「90年代前半には、企業・団体献金の総額が800億円を超え、ものすごくお金が使われた。海部俊樹氏や田中角栄氏の頃から増え続け、バブルがはじけたあたりからだんだん減っていった」としつつ「民主党政権に変わったときにガクッと下がって、政権交代して安倍政権になり少し増えたがバブル期のほどの献金額ほどは多くない」と説明した。
しかし世界的に見ると「献金は常識」とした上で、「日本、米国は一部可能。欧州は可能だが、最大2万ポンドの罰則を支払う義務付けがある。日本だけ罰則が甘い。他国は『企業献金は悪ではない』が、罰則を厳しくしているのが1つの大きなポイント」とした。
もし国民のお金ですべての政治活動費を賄うとした場合はどうなるのか。法政大学大学院の白鳥浩教授によると、メリットとしては政治腐敗の温床を断ち切ることができることで、デメリットは自由に政党を応援する1つの手段がなくなってしまうという。
では、企業・団体献金に違法性はあるのか。宮崎氏は、1970年の最高裁判決から見て「個人の寄付が認められており、企業・団体でも良いと最高裁判例で決められていることなので何ら違法性はない」と解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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