川勝平太知事の辞職に伴う静岡県知事選(9日告示、26日投開票)に立候補を表明した主な3人はいずれも県中部、県西部出身。県政は「西高東低」とやゆされることもあり、以前から県東部の存在感の薄さが指摘されてきた。東部市町の首長は、「西高東低」の解消や、防災・観光振興など東部の課題解決を立候補予定者に求めている。【石川宏】
「東低」、地元トップはどう思う?
知事選に立候補を表明している主な3人は、静岡市出身で元副知事の大村慎一氏(60)▽浜松市出身で前浜松市長の鈴木康友氏(66)▽藤枝市出身で共産党県委員長の森大介氏(55)。東部出身者はいない。
豊岡武士・三島市長は「西高東低」と言われることに「伊豆は(人口戦略会議発表の)消滅可能性都市も多い。バランス良く中小市町の課題を把握し、寄り添い、支援してほしい」と求める。込山正秀・小山町長も「県下を等しく見てもらえる県政を願いたい」と従来の県政に不満を漏らす。頼重秀一・沼津市長も「事業や予算配分が西高東低と昔から言われている。県全体を見て政策をすることを東部首長の一人として強く願う」と話す。
一方、池田修・長泉町長は、新県政で東部の存在感が薄くなるという見方を否定する。「実際に知事になれば、自分の地域ばかり見るということはあり得ない。東部の知事でないから期待できないということはない」と期待する。御殿場市は川勝知事から地元農家を差別するような「コシヒカリ発言」を受けた。しかし同市の勝又正美市長は「コシヒカリ発言後、川勝知事は東部に目を向け、ありがたかった。東中西のバランスを取り、現場を知って一緒に仕事ができる人に知事になってほしい」と注文をつける。
重要課題はリニアだけじゃない
知事選では県政の課題として、浜松市の野球場やリニア新幹線がしばしば取り上げられる。しかし、東部にも重要な政策課題があると各首長は訴える。
頼重沼津市長は(1)沼津駅周辺鉄道高架事業(2)防災(3)人口減少――の3点を挙げる。「鉄道高架事業は東部全体の発展に寄与する。伊豆半島の付け根にある自治体として、安心安全な災害の強いまちづくりは喫緊の課題」と訴える。池田長泉町長は防災面から伊豆縦貫道の早期開通を求める。「伊豆半島と能登半島はどこが違うのか。防災のためにも経済のためにも伊豆半島縦貫道は命の道」と話す。
込山小山町長は観光振興や工業団地誘致が課題だと話す。勝又御殿場市長は「東部は首都圏からの入り口であり、富士山に一番近い」と説明し、観光振興などが課題だと話す。
一方、豊岡三島市長はリニア新幹線の早期開通は東部においても重要だと語る。「リニアができれば(東海道新幹線の)のぞみが大幅に減り、ひかり、こだまが増える。首都圏への通勤通学圏として三島や近隣市町は相当発展する可能性がある。リニアを適切に推進してほしい」と求める。
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