永住者が税金や社会保険料を故意に支払わなかった場合に永住許可の取り消しを可能とする今国会で審議中の関連法改正案を巡り、出入国在留管理庁は8日の衆院法務委員会で、サンプル調査の結果、永住者の未納割合が1割だったと初めて明らかにした。「永住者の未納の統計もなく、法改正の根拠がない」とする野党側の批判を踏まえた。
改正案は、外国人技能実習制度を廃止して「育成就労制度」を新設し、人手不足の分野で未熟練の外国人労働者を受け入れる。日本での永住希望の増加が見込まれるため、公的義務を果たさない外国人労働者の永住許可要件の厳格化も盛り込んでいる。
入管庁によると、2023年12月末現在、国内に永住者は約89万人おり、すべての永住者の納付状況は不明とした。ただし、一部の永住許可申請の書類を調べた結果、23年1~6月に審査を終えた1825件のうち、未納は235件(12・8%)あったとした。内訳(重複含む)は、住民税31件▽国民健康保険15件▽国民年金213件▽その他4件――だったという。
立憲民主党は、外国人労働者を受け入れる際の求人や雇用をハローワークや政府認定機関が担うことを柱とする対案を衆院に提出している。立憲の階猛衆院議員は8日の衆院法務委で、対案には永住許可要件の厳格化は含まれていないと言及。「十分な議論もないまま永住許可を奪うことは、外国人労働者に『選ばれない国』になることにつながる」と述べた。【三上健太郎】
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