閣議後の記者会見で質問に答える盛山正仁文部科学相=東京都千代田区の文科省で2024年5月14日午前9時21分、斎藤文太郎撮影

 教員に残業代を支払わない代わりに一律支給される教職調整額について、盛山正仁文部科学相は14日の閣議後記者会見で、現行の給料月額4%から10%に引き上げた場合、国庫負担金は少なくとも720億円増加して1200億円になるとの見通しを示した。自治体負担分を合わせた増加額は公費全体で2160億円となる。

 教職調整額の引き上げは教員不足の解消策の一つとして文科相の諮問機関・中央教育審議会(中教審)の特別部会が13日に提言した。現状の教職調整額の予算額が480億円で、盛山氏は「これを前提とした場合、追加する額は国費として720億円になると見込まれる」と述べた。

 義務教育段階の教員に対する教職調整額を含む給料や手当は国が3分の1を負担し、自治体が3分の2を負担する仕組み。教職調整額が10%になった場合の自治体負担分は2400億円に膨らむ。特別部会は引き上げ後の支給割合を「10%以上」としたが、財源確保が課題となっており、どの程度増額できるかは不透明だ。

 特別部会は他に、学級担任手当や管理職手当の改善、若手を支援する新たなポストを創設し給与を引き上げることも提言したが、盛山氏はこれらに充てる予算の規模について「現時点では何とも言えない」と述べた。

 提言には働き方改革の加速と学校の指導運営体制の充実のための施策も盛り込まれた。今後、中教審が提言についてパブリックコメントを実施する。【斎藤文太郎】

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