衆院3補欠選挙(島根1区・東京15区・長崎3区、4月16日告示・28日投開票)に向け、野党第一党の立憲民主党が勢いづいている。派閥パーティー収入不記載事件に伴う自民党への逆風などを追い風に、党内には「3勝できるのではないか」との観測も飛び交う。補選で戦果を出して次期衆院選へ弾みをつけたい考えだが、不調に終わった場合は執行部の責任論が噴出する可能性もある。
島根1区「負ける要素がない」
立民の泉健太代表は12日の記者会見で、不記載事件に言及しながら3補選への意気込みを語った。
「政治改革に向けての国民の意思が問われる選挙になる。『自民党の議員たちが喜ぶような政治改革案にしてはいけない』と国民の声で示していただく」
3補選のうち、立民が最重点区と位置づけるのは、与野党対決の構図の島根1区だ。自民新人と立民元職が対決する見通しだが、立民内には「負ける要素がない」(中堅)という強気の見方すらある。全国屈指の「自民王国」とあって、勝利すれば政権への大打撃となることは必至だ。
東京15区は政権批判票分散も
東京15区と長崎3区では自民の不戦敗が決まり、立民と日本維新の会の争いが軸となる公算が大きい。
長崎は、比例選出の立民現職と維新新人が争う。地盤の厚さでは立民に分があり、維新からも「現職はさすがに強い」(幹部)との声が漏れる。
ただ、東京では、立民、維新両党の公認候補以外にも現職参院議員ら多数の候補が出馬する見通しだ。このため、政権批判票が分散して情勢が読みにくくなる可能性も高く、立民中堅は「最も流動的な選挙区だ」と気をもむ。
野田元首相に待望論
党内を俯瞰(ふかん)すると、「1敗」であればともかく、「2敗」となると執行部批判が起きかねない状況といえそうだ。ある中堅は、補選の結果によっては次期代表選に向けた泉氏の対抗馬擁立の動きが加速すると予想し「野田佳彦元首相への待望論もある。本人も動くかもしれない」と見立てを語った。
すんなりと補選で全勝することは難しいという声も根強い。これまでにも政権追及の好機は何度も訪れたが、立民やその前身の野党は党勢浮揚に結びつけることができなかったからだ。
「日本人は〝寛容〟だ。森友・加計学園問題に『桜を見る会』問題…。さまざまなことが起きたが、それでも自民政権が続いてきた」
立民幹部はこう懸念を口にした。(深津響)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。