自転車に乗りながら携帯電話を使用する「ながら運転」などの違反行為に対して、反則金を求める「青切符」が導入されることが17日に決定しました。その背景には、なくならない“自転車の危険運転”があります。
20日朝、大阪市内の道路で、街の様子を取材すると…
【竹上萌奈キャスター】「スマホを見つつ、イヤホンで音楽も聴いているのでしょうか。危ないですね」
週の始まりで慌ただしいためか、交通違反をする自転車も多く見られました。
17日金曜日、悪質な自転車の交通違反に反則金を求める「青切符」を新たに導入する、改正道路交通法が成立しました。取り締まりの対象は16歳以上で、青切符の反則金は5000円~1万2000円程度の見通しです。スマートフォンなどを使用する「ながら運転」も反則金の対象となります。
【竹上萌奈キャスター】「携帯見ながら、イヤホンしながらでしたけど、運転中自覚はありました?」
【ながら運転をしていた人】「すみません、ちょっと触ったりしちゃうときありますね」
【竹上萌奈キャスター】「自転車の罰則で違反金が発生するのをご存じでしたか?」
【ながら運転をしていた人】「知らなかったです。でしたらやめようかな、危ないんで」
【竹上萌奈キャスター】「抑止力にはなると感じますか?」
【ながら運転をしていた人】「そうですね、はい」
交通量の多い交差点で危険な瞬間も見られました。
【竹上萌奈キャスター】「(自転車が走っていますが)赤信号です。非常に危険な運転です。おまけにイヤホンもしているようです」
【竹上萌奈キャスター】「(自転車が)交差点の真ん中に止まってしまって非常に危険です。今、警察官がついに注意に入りました。外に出るように促していますが、動く気配がありません。どうするのでしょうか。警察官の注意を振り払い、無視して車のルートで右折してしまいました」
今回の法改正の背景には自転車の危険な運転があります。2022年に起きた自転車が関係する事故は6万9千件以上、2年連続で増加しました。さらに、死亡や重傷となった事故の7割以上で、自転車側に信号無視や一時不停止といった交通違反が確認されたというのです。
今回の法改正で危険運転はなくなるのでしょうか。
自転車をよく利用する人は…
【自転車利用者】「多分、する人は罰則金払ってもするやろうし。車もそうじゃないですか、結局、一緒なんじゃない」
【自転車利用者】「事故が減るんやったらいいと思いますけど、なかなか浸透しないというか…。自分自身そんなに違反に対して知識がないもんで、それが違反なのかどうか分からない」
■ヘルメット着用は“努力義務”のまま
一方で、今回「青切符」の対象とならない見込みなのが、「自転車運転中のヘルメット着用」です。ヘルメット着用をめぐっては、2023年4月から着用の“努力義務化”がスタート。
当時、大阪市内の自転車店では、ヘルメットは1日に10個売れることもあり、大人用は全て売り切れになっていましたが、ことし5月20日に訪れてみると…
【サイクルヒーロー 森崎玲さん】「月によって若干の差はあるんですけど、だいたい1店舗当たり15~20個ぐらい(1カ月あたり)販売があるかなと思います」
努力義務化された頃と比べると、販売数は落ち着いていて、在庫切れすることはなくなったようです。
ヘルメットの着用は身を守ためには重要です。日本自動車連盟=JAFが行った自転車同士の衝突事故の実験映像があります。頭部への衝撃の違いを測ると、母親の後ろに乗っている子どもでは「ヘルメットなし」が、ヘルメットをかぶっているときの約17倍の数値となりました。
しかし、警察によると、大阪府内で自転車のヘルメット着用率はわずか5.8パーセント。努力義務化から1年たちましたが、十分には浸透していないようです。
【街の人】「周りの人があんまり着けてらっしゃる人がいらっしゃらない。みんなが着けたら着けるかなと思います。もっと普及したら」
■ヘルメットの着用を呼びかける啓発動画を高校生が制作
そんな中、岸和田市にある近畿大学泉州高校で行われた取り組みがありました。生徒がグラウンドに色画用紙を持って集合します。
【アナウンス】「1回目のドローンでの撮影を行います」
上から見てみると、「じこ0(事故ゼロ)」の人文字ができあがりました。
こちらの高校では、生徒の3分の1が自転車通学だということで、警察とともにドローンを使って啓発動画を作り、自転車ヘルメットの着用を呼びかけました。
【自転車通学をする生徒】「みんな着けてるから、着けたほうがいいかな」
【自転車通学をする生徒】「ヘルメット着けて損はないと思うんで、おしゃれなヘルメットも出てきてるんで」
若い人たちの地道な取り組みで、少しでも多くの人への浸透を図ります。
【岸和田警察署交通課 河野義隆課長代理】「若い世代の人たちが中心となって、マナーアップというものを図っていただきたいと思います」
命を守るため、改めて自転車の正しいルールを見つめ直す必要がありそうです。
■法改正で「青切符」導入 自転車ルールを守る意識の高まりが求められる
【竹上萌奈キャスター】「20日朝に取材しましたら、月曜の通勤時間帯ということはあるでしょうが、想像以上の違反者の多さでした。話を聞いてみると、『知っていたんですけどつい、ごめんなさい』みたいな、悪意なく皆さんやっているということも分かりました」
自転車の交通違反に反則金を課す『青切符』が2年以内に導入されることになっています。青切符の対象となる行為と反則金の見込み金額ですが、
・傘さし、イヤホン使用 5000円
・右側通行、信号無視 6000円
・スマホ・携帯電話の使用での運転 1万2千円
決して安くはない、かなり高い反則金の金額が見込まれています。
これまでも特に悪質な違反には赤切符が交付され刑事罰の対象となっていたんですが、今後6カ月以内に、酒気帯び運転、携帯電話など使用中の危険運転も新たに赤切符の対象になってきます。
【関西テレビ 加藤報道デスク】「これまでは青切符がなく、警告か赤切符しかありませんでした。今回は警告の一部の危険行為、113の違反行為については青切符の対象にしたんです。取り締まりを強化するとか厳しくするということではなく、自転車は乗る人が多いので、赤切符で取り締まるぞということではなく、自動車と同じように反則金を収めれば刑事罰は免れますよ、刑事手続きはしませんよということで導入しているんです。ただ厳しく取り締まるべき危険行為はちゃんと取り締まっていくということで、青切符が導入されたと理解されたらいいかと思います」
刑事罰まで行かない違反をどう取り締まるのかという課題があった中で「青切符」の導入が決まりました。今回の法改正によって自転車事故を減らす効果について、番組コメンテーターで京都府知事を務めた山田啓二さんは、「予防的な効果というのは充分に期待できると思います」と話しました。また啓発活動の問題については、
【山田啓二さん】「京都府でもヘルメットを努力義務化して、自転車を買う方に対して補助をつけたりやっているんですけど、そのときはいく(効果が出る)んですけど、また薄れてしまう。しかし特にお子さんを連れている方は、大変な事態になりますから、安全の一つ一つにぜひとも気を配っていただきたいと思います」
自転車は軽車両という位置づけにもなり、乗っている人だけではなくて、他の方の命を危険にさらすこともあるので、交通ルールを守る意識を社会全体で高めていく必要があります。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月20日放送)
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