国は、能登半島地震で大きな被害を受けた輪島塗の職人たちを支援するため、制作に必要な設備や道具のほか、漆など原材料の購入費用のうち、4分の3以内の範囲で1000万円を上限に補助することにしていて、中部経済産業局などが開いた説明会には輪島塗の職人らおよそ50人が参加しました。

説明会では、国の担当者から、補助制度の概要などについて説明があり、参加者からは、申請に必要な資料が地震で焼失した場合はどうすればよいのかといった質問が寄せられ、担当者が「資料を提出できない理由のほか、申請内容が虚偽でないことを宣誓する文書を提出してほしい」などと答えていました。

説明会を開いた中部経済産業局製造産業課の磯貝智子課長補佐は「皆さんに寄り添った形で丁寧に対応していきたいのでぜひ制度を利用してほしい」と話していました。

申請の締め切りは今月28日午後5時で、制度の詳しい内容は、中部経済産業局のホームページなどでも公開しているということです。

輪島塗の職人「国には息の長い支援をお願いしたい」

輪島塗の職人からは事業の再建に向けて一刻も早い支援を求める声も上がっています。

輪島市の仮設工房で輪島塗漆器のまき絵制作に取り組む40代の男性は、元日の地震で自宅と工房が倒壊したほか、「朝市通り」で起きた火災でこれまでの作品や輪島塗の職人だった両親から受け継いだ仕事道具をすべて失いました。

物価高騰の影響もあり、制作作業に必要な道具をそろえるには、少なくとも100万円かかるとみられ、ことし4月から始めた仮設の工房での仕事も、設備が整っていないことや、職人が不足していることから、収入は地震前の2割程度にとどまっているといいます。

男性は、先月開かれた国の補助制度の説明会に参加したということで、「十分に働けないのにお金がどんどん出ていく状態です。これから先を考えると、輪島塗の仕事をやめる人も出てくるのではないかと思っています。国には息の長い支援をお願いしたいと思っています」と話していました。

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