フィリピンの東で熱帯低気圧発生 西日本周辺の海域に北上か

フィリピンの東の海上にある雲域について、31日午前中に熱帯低気圧と解析されました。午前9時の地上天気図では、TDのマークがついていますが、これは熱帯低気圧を示しています。今後さらに発達して中心付近の最大風速が17.2メートル以上となれば台風となります。

気象庁の週間天気予報支援図をみると、今週は沖縄の南の海上に次第にLマークが北上してくる予想です。これについて気象庁は、「9月4日から7⽇にかけて、熱帯じょう乱(熱帯低気圧または台風)が沖縄の南を北⻄へ進む」としています。

気象庁が週間天気予報の作成などに用いる資料の一つであるアンサンブル予報による地上天気図をみてみます。アンサンブル予報とは、数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算した結果を示してそのバラつき具合などをみるもので51通りの計算結果があります。

9月9日(月)9時の予想結果を見ると、まだ予想のバラツキは大きいですが、西日本の周辺に熱帯低気圧または台風を北上させるメンバーが多くなっています。

それではアメリカやヨーロッパなど海外の予報機関はどのような進路予想なのでしょうか。

アメリカ海軍も熱帯低気圧を監視対象に 日本周辺へ北上予想も

アメリカ海軍(JTWC)

アメリカ海洋大気庁の240時間先までのアンサンブル予想結果です。まだ進路予想にかなりのバラツキはありますが、フィリピンの東海上から北上して、日本周辺へと進む予想データもあります。

アンサンブル予想結果の一例として、9月9日午前9時の天気図の予想メンバー一覧をみると、日本の周辺海域に熱帯じょう乱が示されている結果も複数存在します。

ヨーロッパモデルでも一部が日本周辺への北上の可能性を示唆

ヨーロッパ中期予報センター

ヨーロッパ中期予報センターでは、ある予想時刻の48時間以内に、その場所から300キロ以内を熱帯低気圧が通過する確率を公表しています。最大風速が17メートル以上の熱帯低気圧が接近する可能性を示した確率です。

9月3日から8日にかけての予想をみると、確率の高い領域が、フィリピンの東海上から次第に沖縄周辺の海域へと移動していくことがわかります。沖縄周辺の海域の方が確率が高くなっているのは、熱帯じょう乱が発達して台風となる可能性があるためだと思われます。

またアンサンブル予想の9月9日午前9時予想について全メンバーの結果をみると、バラツキは大きいですが、西日本の周辺に北上する可能性を示すメンバーもあります。

現在の北西太平洋の海面水温を見てみると、フィリピン周辺は広く30℃以上と非常に高い海域です。日本周辺も西日本の南の海上も広く30℃前後のエリアが広がっています。海水温度の面では台風は発達する環境が整っていそうです。
九州の南から南東方向に帯状に若干海水温が低くなっているのは台風10号が進んだルートの下で海水がかき混ぜられたエリアとみられます。

もしこの熱帯低気圧が台風となれば台風11号または12号となりそうです。北東太平洋にあるトロピカルストーム「HONE(ホネ)」が、アメリカの監視対象領域から日付変更線を超えて気象庁の監視対象領域に入ってくるため、これが先に台風11号となる可能性があります。

気象庁・アメリカ・ヨーロッパの予想ともまだかなり先の予報で不確定要素が多く、確定的なことを話す段階ではありません。あくまで参考程度の情報とはなりますが、少し頭の片隅にでも入れておいてもらえたらと思います。

※台風に関する情報について最終的には気象庁が発表する情報を参考にしてください

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