愛媛 宇和島 飲食店が営業再開
愛媛 愛南町の温泉施設 営業再開の見通し立たず
今も大きな地震に不安募らせる住民も
愛媛沿岸部 地震発生時の避難の状況は
店主の佐藤福さんは、「多くの方にご心配おかけしました。余震は怖いですが、営業を再開できました」と話していました。
震度6弱の揺れを観測した愛媛県愛南町にある温泉施設では、地震の後、湧き出るお湯に濁りがある状態が続いたということで、地震の発生から1週間となる今も、営業再開の見通しが立っていません。愛南町緑乙の「山出憩いの里温泉」は、レストランや宿泊施設を併設する温泉施設で、地元の人たちに親しまれています。
施設によりますと地震の前は透明だったお湯は、町内で震度6弱を観測した4月17日の地震の後、白く濁った状態が続いていたということです。濁りは徐々に解消に向かい、地震の発生から1週間がたった24日の時点では見た目ではほぼ透明になっていますが、濁った原因がわからないこともあり、営業再開の見通しは立っていません。施設はお湯のサンプルを採取して専門の機関に送り、泉質に問題がないか調べることにしていて、調査結果を踏まえたうえで再開のめどを判断したいとしています。
再び大きな地震が起きないか不安を募らせている人もいます。宇和島市の石応地区で、1人暮らしをしている島田ヨシコさん(73)は、4月17日、自宅でテレビを見ていたところ強い揺れを感じました。これまで地域の避難訓練には欠かさず参加していましたが、今回の地震では、パニック状態となって避難もままならず、布団のなかでおびえていたということです。その後、自宅に訪ねてきてくれた近所の人の付き添いで、近くの公民館に避難できましたが今後も大きな地震が起きないかと夜も眠れないほど不安を募らせているといいます。
島田さんは「とにかく、怖くて逃げようという考えも思い浮かず足が動かなかった。実際の災害は訓練とは違って何をしたらよいのか判断ができなくなるものだと感じました」と話していました。
南海トラフ巨大地震を想定した津波からの避難訓練を行ってきた愛媛県の沿岸部の地域では、4月17日の地震で、自主防災会の活動もあって多くの住民が高台や近くの公民館などに避難しました。一方、散乱する屋根瓦などが避難の妨げになるとの懸念も浮上し、対策の見直しを進める地域もあります。愛媛県宇和島市沿岸部の500人ほどが住む石応・白浜地区は、南海トラフ巨大地震で最大で6.5メートルの津波が予想されています。
この地区では、自主防災会が中心となって、災害時のマニュアルを作成し、地震の際の役割分担や高台への避難などを決めています。自主防災会の脇田源一会長(68)は、今月17日の地震が起きた直後、ほかのメンバーと手分けをして見回りや避難の呼びかけを行いました。また、近くの公民館を拠点として地区の被害状況などをとりまとめ、市に報告するなどの対応にあたりました。
一方で、今回の地震で浮上した課題もありました。地区では住民の半数を高齢者が占めていて足腰が不自由な要支援者は、リヤカーに乗せて避難させることを計画しています。
しかし地区には古い家屋が多く、今回の地震でも屋根瓦や壁が壊れる被害が相次いだことから、今後、崩れた屋根瓦などが避難の妨げになる懸念があるということです。自主防災会では、今回の地震を教訓にして、避難ルートやマニュアルを見直すなど、対策を進めることにしています。
自主防災会の脇田会長は「今回の地震で被害が出たので、南海トラフ巨大地震が起きたらどうなるのか危機感を感じた。避難ルートの見直しなど早急に対策を検討しないといけない」と話していました。
住民の避難行動に詳しい愛媛大学防災情報研究センターの二神透副センター長に話を聞きました。
「津波が想定される沿岸地域では複数の避難経路を想定したり、夜間の訓練を行ったりして、避難の実効性を高めることが大切だ。今回の地震を教訓にそれぞれの地域で南海トラフ地震への備えを進めてほしい」
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