能登半島地震9か月 大雨で「二重被災」も 生活再建支援継続を

このうち、創業およそ220年の温泉旅館「美湾荘」は、ことし1月の地震で建物に亀裂が入るなどの大きな被害を受け、復旧工事を進めています。

旅館によりますと、営業再開には少なくともさらに2年以上かかる見通しで、正社員とパート合わせておよそ100人の雇用は、休業手当の一部が助成される国の雇用調整助成金を利用し守っています。

能登半島地震を受けた特例が適用され、助成金を利用できるのは休業が始まってから1年の間で、最大300日となっていて、この旅館では年末には助成金を使うことができなくなる見込みだといいます。

さらに休業の開始から2年目となる1年間は助成金を使うことができない仕組みとなっていて、この旅館は来年1月からは支援を受けることができなくなります。

このため旅館では、ことし8月から館内の被害を受けていないスペースで飲食店の営業を始め、従業員の働く場を確保しようとしていますが、飲食店で働ける従業員の数は限られ、ほとんどが長期間の休業で収入は減少していて今後の生活への不安の声も出ているということです。

美湾荘の多田直未社長は「従業員の雇用を守れなければたとえ旅館の営業が再開できてもサービスを維持できなくなります。国などには雇用調整助成金を活用した継続した支援を営業再開までお願いしたいです」と話していました。

「和倉温泉旅館協同組合」の谷崎裕理事長は「旅館やホテルの復旧工事は業者の確保などが難しく、当初の予定よりも遅れているところが多い。営業再開まで2年以上かかるとみられる旅館もあり従業員の雇用を守るための支援をお願いしたい」と話していました。