輪島市の「朝市通り」にある福島裕見子(55)さんの自宅跡地では今月上旬から薄いピンク色のチューリップのつぼみがふくらみ始め、2輪の花を咲かせました。

周りには炭や灰、黒く焼け焦げた建物の一部などが転がっていて、火災の爪痕が残っています。

このチューリップはことし2月下旬、福島さんが焼け跡から家族の思い出の品を探すために2次避難先の加賀市から片道およそ4時間をかけて訪れた際、芽が出ていたのを見つけました。

福島さんは「自宅跡に来るときは毎回絶望や諦めを感じていましたが、チューリップの芽を見つけたときは感動しました。花がここにいるよと言っているように感じて元気をもらいました」と振り返ります。

春を迎えた今では、チューリップのほかにも黄色や白など色とりどりの花が自宅跡地に咲き始めています。

福島さんは「何もかも景色が変わってしまった自宅跡で懸命に咲いている花だけが唯一、地震前の日常を感じられてほっとします。花を見ると前を向けるので、これからも成長を見守りたいです」と話していました。

福島さんは13日、焼け跡から花の手入れをする時に使っていたハサミを見つけました。

ハサミは茶色く焼け焦げていましたが、花を大切に育ててほしいというメッセージだと感じたということで、先月入居した仮設住宅に持ち帰っていました。

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