世界最大級の金生産地で、政府が世界文化遺産候補として推薦している「佐渡島(さど)の金山」(新潟県佐渡市)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)は「情報照会」を勧告した。文化庁が6日、発表した。4段階ある勧告のうち、上から2番目の評価で、「世界遺産への登録を考慮するに値する価値がある」とされた。

勧告には、上から順に「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階があり、「登録」勧告された場合、原則として正式決定される。同庁によると、昨年情報照会の勧告を受けた6件は、いずれも登録されたといい、政府は引き続き7月下旬にインド・ニューデリーで開催される世界遺産委員会での登録を目指すとしている。

登録されると、国内の文化遺産は2021年の「北海道・北東北の縄文遺跡群」(北海道、青森県など)に続き21件目で、自然遺産を含む世界遺産は26件となる。

佐渡島の金山は、西三川砂金山と相川鶴子金銀山で構成される。17世紀に世界最大級の金生産地となり、採掘された金は江戸幕府を支えたほか、芸術作品の装飾にも用いられた。

同庁によると、イコモスは佐渡島の金山について「他の地域で機械化が導入された時期に、完成された手作業による採掘と製錬技術を継続したアジアにおける他に例を見ない事例」と評価。一方、相川鶴子金銀山の一部は、推薦対象の江戸時代以降の遺産が含まれるとし、除外すべきだとした。

政府は「江戸時代に伝統的手工業を活用し、大規模かつ長期にわたって継続した希少な産業遺産だ」などとし、22年2月、世界文化遺産候補としてユネスコに推薦書を提出。その後、ユネスコから金山の水路についての説明が不十分との指摘を受け、23年1月に再度、推薦書を提出した。

佐渡島の金山について、韓国は「朝鮮半島出身者の強制労働の現場だ」と反発している。

◇価値認められた―文科相

盛山正仁文部科学相の話 「佐渡島(さど)の金山」について、国際記念物遺跡会議(イコモス)から世界遺産登録を考慮するに値する価値があることは認められた。文科省としては、勧告を真摯(しんし)に受け止め、7月に開催される世界遺産委員会で登録されることを目指し、関係省庁、新潟県、佐渡市と連携し対応を検討していく。

人形を使って当時の採掘作業を再現している「佐渡島(さど)の金山」の坑道=5月15日、新潟県佐渡市

「佐渡島(さど)の金山」の象徴的な採掘跡「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」。掘り進むうちにV字形に割れたような姿になった=5月15日、新潟県佐渡市

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