たまたまつけたテレビの画面に映った、ほぼ裸の2人の男。互いの体に腕や足を絡め合う姿に目がくぎ付けになった。
次第に彼らは格闘家で、これが寝技なのだと理解していくのだが、それにしても、寝てるだけで魅せるってすごい。以来、戦う男のとりこになったわけだが、ブルース・リーの才能に目まいを覚えたのは、もっと大人になってから。
格闘家たちの肉体の躍動をさんざん凝視し、経験を積み、ようやくこの作品でスクリーンのブルース・リーと初対面した。別格だった。映画という作り物の世界の中で、彼の肉体と精神だけが本物で、圧倒的で、神々しい。座る、立つ、歩く、笑う…。さりげない動作の一つ一つに、どの部分の筋肉をどう動かすべきかまで考えているよう。
リーの放つ緊張感に抱き締められながら映画の時間が過ぎていきました。(桜坂劇場・下地久美子)
◇同劇場で上映中
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