神奈川県厚木市を舞台に、合唱を通した音楽教師と若者との絆を描く映画「キリコのタクト~YELL(エール)~」が製作される。市内でオールロケを敢行予定で、厚木ゆかりの音楽グループ「いきものがかり」の名曲「YELL」から着想を得たといい、2026年1月までの完成を目指す。
製作関係者がこのほど市役所で記者会見を開いた。厚木市は25年2月1日に市制施行70周年を迎えることなどから、記念事業と位置づけて協力する。海外の映画祭にエントリーすることも検討する。
市出身の映画プロデューサー、神品(こうじな)信市さんと映画監督の雑賀俊朗さんがコンビを組んだ「レッドシューズ」(23年公開)、「レディ加賀」(24年公開)に次ぐ3作目となる。
レディ加賀が今春、同市内の映画館で上映された際などに、神品さんが山口貴裕市長と話す機会があった。2人とも市立厚木小、厚木中の卒業生で「厚木を舞台にした映画を」という話が進んだという。神品さんは「厚木での生活が今の自分を作ってきたと思っている。厚木に恩返しできればと思った」と語る。
雑賀監督は「YELL」が小田急本厚木駅の列車接近メロディーに使われていることを知り、「私が大好きな曲。合唱コンクールの課題曲でもあり、この曲をモチーフに映画を作れないかと思った」ときっかけを語る。
高校の合唱コンクールで「伝説の合唱の優勝請負人」とされた音楽教師キリコ。教え子たちが優勝を果たし、その1人が社会人になった後、消息不明となっていたキリコを捜し、再会する――というストーリーを構想したという。
「地元の人が分からない厚木の良さ、魅力を見つけたいと思いながら作っていこうと思う」と雑賀監督。2人の主役は、厚木にゆかりのある俳優の起用も考えつつ、出演交渉しているという。
映画に出演予定の俳優、宅麻伸さんが同映画のアンバサダーも務める。宅麻さんは「厚木を宣伝して『第二の地元』にしたい」と意気込む。
厚木市は70周年記念事業費のうち、500万円を同事業実行委員会を通じて協賛金として提供する。山口市長は「市民もエキストラ出演できないかという話もした。市民が厚木に誇りを持ってもらえる」と協力を惜しまない姿勢だ。【佐藤浩】
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