水俣市を拠点に活動する写真家・森田具海(もりた・ともみ)さんの作品展が葦北郡津奈木町のつなぎ美術館で開かれています。

京都出身の写真家・森田 具海さんです。2019年に水俣市に移住しました。以前、初めての個展で「作品は表現なのか、記録なのか」来場者に問われ、悩んだといいます。

【写真家 森田 具海さん】
「何かヒントみたいなものを探している時に、石牟礼道子さんという水俣のことを書いている作家の本を読んで、同じように『これは記録だ』とか『あるいはノンフィクション』『しかし、フィクションだ』とか語られていて、水俣に行けば、何かちょっと見つかるかもしれないと思ったんですよね」

実際に石牟礼さんに会う機会はなかったものの、水俣でさまざまな人たちと出会いました。

【写真家 森田 具海さん】
「まず話を聞いて、地元の人と一緒に散歩したりとかして、ここにこういう場所があるんだというのを知った後に、改めて一人でカメラを持って振り返りに行くというか、今回の展示作品はそういったものが多いと思っています」

展示の仕方にも森田さんの思いが込められています。

【写真家 森田 具海さん】
「ここの近所に住んでいる人から浜遊びとかを教えてもらって、『じゃあ、行きますか』と浜に一緒に連れて行ってもらって、降りると、海が干上がったあとの潮だまりがあるんですよね。3分ぐらいじっと見ていると、いろいろな生き物がいることに気づく。イソギンチャクとかイトエビとか逃げ遅れた魚とかが出てくるわけです。それと同じように、自分たちの時間も流れているんだなと、ここに来るたびに思い出させてくれる」

自然と向き合い、土地の記憶をめぐり、生活の中にあるトポフィリア、〈場所への愛着〉を捉えた作品が並びます。

【来館者】
「普段通りかかっている所でも全然、自分は見ていないような感じがするからですね。そういう意味では非常になんかいいですね」

作品の額縁の一部は、森田さんと意気投合した元・指物師の浮島朴容(うきしま・ぼくよう)さんが作ったものです。

【浮島 朴容さん】
「元気のいいときに作った」

【写真家 森田 具海さん】
「浮嶋さんから言わせれば、これでももっと薄くすればと思うんじゃないですか」

【浮島 朴容さん】
「そういうのもいろいろ考えたね」

【写真家 森田 具海さん】
「特殊な場所なんだなと感じることも多い中で、水俣のこと、いろんなことを語れたら、いろんな人と話せたらいいなと思っていて、水俣と関わり続けていけたらいいなと思っています」

人と語り、ふれあい、そこから見えてきたものをとらえた『ここで眺める、水俣』森田 具海写真展は、つなぎ美術館で8月25日(日)までです。

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