歌舞伎俳優の松本幸四郎さん、尾上菊之助さんが9月1日開演する「歌舞伎座『秀山(しゅうざん)祭九月大歌舞伎』囲み取材に、前日稽古の合間を縫って、夜の部に上演される「勧進帳」の衣装で出席しました。


「歌舞伎座『秀山(しゅうざん)祭九月大歌舞伎』囲み取材



「秀山祭」は、初代・中村吉右衛門さんの俳名を冠した舞台で、その功績を称え、2006年から毎年9月、歌舞伎座で幸四郎さんの叔父で、菊之助さんの義父にあたる故・二世中村吉右衛門さんが長きに渡り続けてきたもの。

今年、生誕80年を迎えた二世・吉右衛門さんは、当たり役のひとつ「勧進帳」の武蔵坊弁慶を「80歳で演じる」ことを目標としていたため、今回の「勧進帳」には「二代目播磨屋八十路の夢」の副題がつけられ、幸四郎さんが弁慶を、菊之助が富樫左衛門を勤めます。


松本幸四郎さん



幸四郎さんは“今年も秀山祭があるという事は本当にうれしい事であり、ありがたい事。そこで責任ある演目をやらせていただくことはプレッシャーですが、叔父が始めたこの「秀山祭」の精神を、自信を持って皆様にお見せしたいと思います”と挨拶し、菊之助さんも“叔父が『80歳で弁慶を』と、生前ずっとおっしゃっていたので、それを幸四郎さんの弁慶で、私が富樫をさせていただき、叔父の体は今ここにはないですけれども、その精神を受け継いで、我々が体現させていただく”と意気込みを語りました。


尾上菊之助さん



また今回の舞台では、二世・吉右衛門さんが生前、弁慶を演じるにあたり京都で特注し、2014年の「勧進帳」でも使用した数珠を、幸四郎さんが身に着け演じます。

幸四郎さんは“秀山祭で今年『勧進帳』がかかるというのは、意味のあること。しかも自分が弁慶ということには驚きましたけれども、やらせていただくということに当たって、叔母からご連絡あり「弁慶をやる時に作った数珠を使ってください」と言っていただきました”と明かしました。


松本幸四郎さん



この日、初めて数珠を使った舞台稽古をしたことについて“怖いですね”と、責任の重さを感じている様子でしたが、“でも、お守りでもあり、「しっかりやらなければいけないんだ」という思いもこもっているのかな。そういう思いで使わせていただく。そこに叔父が生き続けていますので、自分が演じる上で、皆さまにお伝えできる力を発揮できたらいいな”と、数珠を見つめながら握りしめました。


尾上菊之助さん



あらためて「勧進帳」にかける思いをたずねると、幸四郎さんは“私にとってはもう本当に、これがあったから歌舞伎役者になったっていう、そういう演目ですね”と語れば、菊之助さんも、“この歌舞伎界にとっても宝の演目。弁慶をおやりになる方は、声も身体も精神も全力でお勤めになる。弁慶は義経を「守る思い」、富樫は鎌倉殿頼朝の命を受け関所を「守る思い」がある。『忠義と忠義のぶつかり合い』がこの演目の眼目だと思います。その弁慶の思いに応えるべく、懸命に関守の役を勤めたいと思います”と、先人の築いた思いと伝統を「守る」べく、熱い思いを語りました。

【担当:芸能情報ステーション】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。