南米ペルー南部の世界遺産「ナスカの地上絵」の研究所を持つ山形大は24日、新たに地上絵303点を特定し、儀礼や情報共有の目的で描かれた可能性が高いことが分かったと発表した。成果は同日、米科学アカデミー紀要に掲載された。

地上絵の特定は、米IBM研究所と共同で、人工知能(AI)を活用して実施。AIが航空写真から判別した候補地に基づき、2022年9月から23年2月まで現地調査を行い特定した。従来の肉眼による判別に比べ、大幅な時間短縮につながったという。

研究を率いる山形大の坂井正人教授(文化人類学、アンデス考古学)らは、AIを活用するなどしてすでに発見済みの地上絵の規模や分布なども分析した。その結果、線で描かれた平均約90メートルの大型地上絵は主に野生動物をモチーフとし、神殿などに向かう巡礼路の近くに描かれていたことから、共同体レベルの儀礼に利用されていたと推定された。

今回特定された地上絵は、大きさが平均約9メートルと小型で、石を面状に並べて人や人の頭部、家畜などが描かれていた。これらの小規模な地上絵は小道沿いに多く、個人や小集団が儀礼や家畜などの情報を共有するためにつくられたと考えられるという。

坂井教授は「文字のない世界で人が考えていたことを解読できるのではないか」と今後の研究に期待を寄せた。

新たに特定された、頭飾りをつけた人型のナスカの地上絵(山形大学ナスカ研究所提供)

新たに特定された、「ナイフを持ったシャチ」のナスカの地上絵(山形大学ナスカ研究所提供)

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