在日コリアン2世のソプラノ歌手、田月仙(チョンウォルソン)さんが26日、40周年の記念公演「あの海を越えて」を東京都中央区の浜離宮朝日ホールで開く。日本と朝鮮半島という「二つの故郷」を胸に、朝鮮半島ゆかりの歌や日本語と韓国語を織り交ぜた曲などを歌い上げる。
現在の韓国出身の両親のもと、東京で生まれた田さんは1983年にデビュー。85年に北朝鮮に招かれて歌い、94年にはソウルでオペラ「カルメン」に主演した。
98年には日本の歌への規制があった韓国で、当局の許可を得て日本の歌を披露。日韓が共催した2002年のサッカーW杯の際には、両首脳の前で日本語と韓国語を織り交ぜた「海を越えて」を歌い、自身の公演では日本では朝鮮半島の歌を、韓国では日本の歌を紹介し続けてきた。
田さんは「二つの故郷の平和を心から祈り、自らの歌を通して伝えてきた」と振り返る。
今回の公演の第1部では「海を越えて」「正調アリラン」「高麗山河わが愛」などのほか、日本の皇族出身で朝鮮王朝最後の皇太子妃となった李方子(りまさこ)をモデルに自ら創作したオペラ「ザ・ラストクイーン」の名場面も披露する。
第2部では、日本を舞台にしたイタリアのオペラ「蝶々夫人」を多彩なゲストとともに届ける。
「あの海を越えて」という公演のタイトルには「二つの故郷」への思いを込めた。「特別な思いで表現できる歌ばかりを選んだ。今回は、二つの故郷に捧げる公演でもある」と田さん。積年の思いを込め、来年の日韓国交正常化60周年も見据えながら、つくり上げる舞台になる。
開演は26日午後4時半。問い合わせはカラフネット(03・3366・1229)へ。(ソウル=貝瀬秋彦)
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