テレビドラマ「3年B組金八先生」で教育現場を描いた脚本家の小山内美江子(おさない・みえこ、本名・笹平美江子=ささひら・みえこ)さんが、2日、老衰のため死去した。94歳だった。長男の俳優で映画監督の利重(りじゅう)剛さんが所属事務所のサイトで公表した。葬儀は家族で営んだ。
- 「金八先生」にこめた不戦の誓い 小山内美江子さん【アーカイブ】
1930年、横浜市生まれ。映画のスクリプターを経て脚本家に。79年に放送が始まりヒット作となった「金八先生」(TBS系)は、自らの子育て体験を根底に置き、受験や異性に悩む中学生の姿と教師の交流を描いて世相をとらえ、シリーズ化した。
中学生同士の間に子どもができたり、不良が教師から「腐ったミカン」と呼ばれたり。徹底した現場取材に基づくリアルな物語は時に論争を巻き起こした。まだ認知されていなかった性同一性障害をいち早く取り上げるなど、社会的マイノリティーにも温かな視線を注ぎ続けた。
がん療養などのため2005年にシリーズ途中で降板。だが、11年に放送された最終作の収録現場に顔を見せるなど、原作者として「金八」には最後まで深いかかわりを持った。
ほかの代表作に「マー姉ちゃん」(NHK連続テレビ小説、1979年)、「翔ぶが如く」(NHK大河ドラマ、90年)などがある。
母親の死や中東の湾岸危機をきっかけにボランティア活動にも力を注いだ。93年からカンボジアに学校を建てる活動を続け、NPO法人「JHP・学校をつくる会」の代表に。NPOによると、カンボジアを中心に約400棟の学校施設建設を現地で支援した。
武田鉄矢さん「人生を貫く心をつくってくれた作品」
◆「3年B組金八先生」に主演した歌手で俳優の武田鉄矢さんのコメント
長いお付き合いでした。32年にわたり、描き続けてくださった「3年B組金八先生」は、私の人生を貫く心をつくってくれた作品でした。初めてお会いした日から最後にお別れした日まで、これから32年をゆっくり振り返り、何度も何度も、思い返そうと思います。心よりご冥福をお祈りします。
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◆テレビドラマ「半沢直樹」「VIVANT」などを手がけた、TBSドラマ制作部ディレクター・福澤克雄さんのコメント
まだ若くて未熟だった私に、「ドラマとは」「作品とは」ということを徹底的に教えて下さった大恩人です。
福澤克雄(「金八先生」第5、6、7シリーズ チーフ)
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