Mリーグによって麻雀(マージャン)の人気が高まるにつれて、地上波のテレビ番組で、その魅力が紹介される例が増えている。
- 【麻雀特集ページ】萩原聖人、二階堂亜樹…Mリーガーたちの物語も
Mリーグに「風林火山」というチームを持って参戦しているテレビ朝日は、力を入れている局の一つだ。
2019年からは、毎週日曜の深夜0時55分から、爆笑問題の田中裕二と元SKE48の須田亜香里が司会を務める30分番組「熱闘!Mリーグ」を放送。その週の対局の名場面を振り返るとともに、選手に密着して魅力を伝えたり、専門的な分析を紹介したりしている。今季から「ビースト」の一員としてMリーガーになった元乃木坂46の中田花奈は、プロ雀士になる前から麻雀に熱心な芸能人としてたびたび出演しており、ファンに親しまれた。
今年の4月からは、毎週木曜の深夜2時15分~2時34分に新番組「集まれ!キャラクター麻雀」が放送されている。
司会は、麻雀の強者で知られるアンジャッシュの児嶋一哉。麻雀が好きな芸能人3人を迎えて対局する。ゲストの芸能人がそれぞれ「麻雀覚えたてのおじさん」「 麻雀バトル漫画家」などのキャラクターに扮し、役になりきってアンジャッシュ児嶋と珍妙なやりとりをしつつ、真剣に打つのが見どころだ。戦況は、プロ雀士でもある林美沙希アナウンサーがわかりやすく伝える。
担当する寒川拓郎ディレクターは、麻雀が好きな芸能人が多いことを知り、企画したという。「麻雀は人と人が触れ合えるいいゲーム。番組を通じて、真面目な対局も楽しく打つことも面白いことをお伝えして、麻雀の魅力を広めたい。出演者が、話しながらも必死に戦略を考えている瞬間を見てほしい」と話す。
児嶋は、ふだんCS放送「フジテレビONE」で放送されているバラエティ番組「芸能界麻雀最強位決定戦 THEわれめDEポン」の常連出演者でもある。フジテレビは今年3月、「われポン」の愛称で親しまれるこの番組を9年ぶりに地上波で放送。児嶋と堺正章、Mリーガーの萩原聖人(雷電)、岡田紗佳(サクラナイツ)の4人が卓を囲み、話題になった。
NHK総合は、昨年5月、深夜番組「ドキュメント20min.」で「運命との闘牌」と題し、Mリーガーの園田賢(ドリブンズ)を特集した。麻雀で勝つには、運と実力が必要だが、園田は、あがったときに得点が増える裏ドラがあまりのらないなど、運に恵まれない選手として知られる。それでも自分の実力を信じて研究を続ける姿を追い、園田ならではの高度な読みも紹介された。NHKがプロ選手の麻雀をとりあげるのは珍しく、X(旧ツイッター)で「(園田選手は)とにかく運がない」などとつぶやいた投稿が200万回以上表示されるなどの反響があった。
園田は「やはりNHKの地上波は特別感があるようで、いろんな方に『見たよ』と声をかけてもらえた。麻雀に対して昔のアングラなイメージを持っている方も含めて、幅広くリーチできたことはうれしい。特に若い世代の視聴率が良いとのことで、何度も再放送されており、麻雀のイメージが少しずつ変わってきているのを感じる」と話す。
NHK総合は最近、ニュース番組でも相次いで麻雀をとりあげている。4月17日には「午後LIVEニュースーン」のなかで麻雀ブームを特集。部活動の一つとして麻雀に力を入れて、生徒同士のコミュニケーションが活発になっている埼玉県春日部市の松実高等学園の取り組みなどが放送された。5月2日にも夕方の「首都圏ネットワーク」で、麻雀に熱中する子どもの姿や、麻雀が子どものIQ(知能指数)を上げる可能性があることを示す研究成果などが紹介された。
松実高等学園健康麻雀部顧問の斉藤友昭先生は「楽しそうな雰囲気が映像で伝えられてよかった。知人や友人から『自分が学生時代にこんな部活があれば良かった』などの反響をいただいた。賭け事の印象があるため、学校内で麻雀をすることに驚いた人もいたが、純粋にゲームとしての素晴らしさを知ってもらえるとうれしい」と振り返る。
もともと麻雀とテレビの縁は深い。1960年代には、日本テレビの番組「11PM」で麻雀が定期的に紹介されはじめた。スター性があり、後にミスター麻雀と呼ばれる小島武夫さんらが出演することで麻雀ブームが起こり、現在の競技麻雀の原形が形作られた。
その後人気が落ち着くと、地上波の番組でとりあげられることは減った。しかし、2018年に始まったMリーグがABEMAで多くの視聴者を獲得し人気になり、個性的な選手も多く登場していることで、改めて放送関係者から注目を集めているとみられる。(藤田明人)
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