イカを描き続けて20年を迎えるイカ画家、宮内裕賀さんの個展です。
海に浮かぶ神秘として、命をつなぐ食材として…
様々な視点でイカをとらえようとした作品を見つめました。
「食べ物としても自分のところに来てくれるし、美しさももたらしてくれる(自分にとって)神様のような存在」
鹿児島市在住のイカ画家、宮内裕賀さん。
近所のおじさんが釣ってきたイカの美しさにひかれて、以来、20年イカを描き続けています。
ガラス玉のようなイカの目です。
閉じかけたまぶたの奥に光が宿っています。
宮内さんが自分で解剖し、描きました。
「なぜ死んだ後??」
宮内裕賀さん
「生きて泳いでいるイカの姿より、死後のイカの方に生命力を感じている。その中でも特に目に力を感じるので、それを何とか表現したい。死後は筋肉が弛緩して、透明感も生きている時と違う」
こちらは、呼子イカの活き造り。
宮内さん視点で見ると、不思議な生き物を体に取り込むような感覚を覚えます。
会場で一際大きな作品は、イカの一つ一つの命が細かく描き込まれています。
巨大なイカの中にいるのは、小さな小さなイカたちです。
宮内裕賀さん
「イカは人間の資源として消費されるために生まれてきたわけではなく、一つ一つの命として地球に存在している。イカは食べ物としてとても身近で、それもありがたいことだが、その前にイカも一つの命であったことを知ってもらえるきっかけになれたらいい」
2024年4月まで、著名な雑誌でイカ企画も連載していた宮内さん。
初めて、イカ以外のものにも挑戦しました。
雑誌の888号を記念して描いた8本足のタコです。
タコはタコ墨で、隣のイカはイカ墨で描かれています。
くねくねと動くタコとは対照的に、直線的で何だか作り物のようにも見えるイカ。
宮内さんは二つの生き物を並べて描いて、改めてイカの魅力に気づかされたと話します。
宮内裕賀さん
「イカでやりたいことがたくさんあって。イカで一杯一杯で。書くたびにこれだ!と思うが、書いた後に作品を見ると全然まだできていないところが出てきて、まだまだ果てしないなと思っています」
イカ画家、宮内裕賀さんの個展は、鹿児島市のギャラリー白樺で5月21日まで開かれています。
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