高浜町の元助役が県職員に金品を贈っていた事件の、調査報告書を巡る問題について、県は2024年2月、この調査報告書の元となった調査票の、非開示としていた内容の一部を公開しました。公開された調査票の分析を進めていた市民オンブズマン福井は30日、会見を開き「調査報告書は、森山氏が県政を不当に支配していた事実を隠したアリバイ的な作文だ」と批判しました。
高浜町の元助役・森山栄治氏による金品授受問題を巡り、県は2019年に109人の県職員や退職者が金品を受け取ったとする内部調査の報告書を公表しました。しかし、報告書の基となった調査票について、県は一部を非公開にしました。これを違法だとする市民オンブズマン福井が訴訟を起こし、2023年、「非公開は違法」との判決が確定。2024年2月、非公開部分のほとんどが明らかになりました。
調査票の分析を進めてきた市民オンブズマン福井の伊東晴美さんは「県庁の中でどんなことが起こっていたのかが本当に生々しく分かる」と話し、大久保公夫さんは「森山氏の不当な支配に、同和行政を中心に県の行政機関が屈していたという事態」と話しました。
オンブズマン福井によると、公開された調査票からは金品の受け取り以外にも、森山氏への就任挨拶や、「中元や歳暮」などといった職員側からの贈り物が、半ば組織的・強制的に行われていたことがうかがえるということです。
また、県が人権問題に関わる事業を行う際には、森山氏の意向をまず確認するなど、森山氏に対し必要以上の根回しが行われていたことも調査票からうかがえるものの「県の調査報告書の方にはその旨の記載がない」と指摘しました。
報告書に記載しなかったことで、問題を「金品の授受があったかどうか」のみに矮小化し、「長年にわたる森山氏の異常な影響力を見過ごし、是正措置を取らなかった歴代知事や幹部の責任については言及していない」と批判しました。
また当初、県が調査票の一部を非公開にしたことについて、大久保公夫さんは「県が報告書を発表した時点で、県民がこれを具体的に批判し、反論する機会を奪った。県が持っている情報は県民との共有財産で、基本的には開示するもの。公開を拒む背景には、都合の悪い事実を隠す意図があったのではないか」と、県の情報公開のあり方についても疑問を呈しました。
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