自民党派閥の裏金事件を受けた政治資金規正法改正を巡り、3日に開かれた衆院政治改革特別委員会では、自民修正案への批判が相次いだ。中でも、日本維新の会の一部要求を反映させた「政策活動費の領収書の10年後公開」は、公表方法も支出上限額も定まっていないことが明らかになった。支出状況をチェックする独立監査機関に関しても、設置時期は未定。政治資金の使い道について「ブラックボックス」の状態を継続させかねない抜け穴だらけの改正案は、4日にも衆院を通過する見通しだ。

◆「領収書公開」も「監査機関設置」も時期不明

衆院政治改革特別委で趣旨説明する自民党の鈴木馨祐氏=国会で(千葉一成撮影)

 自民修正案では、役職に就く議員に党から支給された政策活動費は、収支報告書公表の10年後に領収書を公開するとしているものの、制度の具体的な内容は「早期に検討し、結論を得る」としか記載されていない。実際の領収書がいつ公開されるかや、年支出額の上限も未定だ。  3日の特別委では、立憲民主党の山岸一生氏が「領収書の黒塗りを認めることはあり得るのか」と確認すると、自民案提出者の鈴木馨祐氏は「プライバシーや営業秘密とのバランスは考慮されないといけない」と黒塗りに含みを持たせた。  党首会談を行って自民と合意を結んだ維新の青柳仁士氏は、自民案が政策活動費の定義を「政党から国会議員への50万円超の支出」と限定している点について、「50万円以下なら今まで通り自由に配れる」と問題視。「このままでは賛成できない」と再度の修正を求めた。自民幹部は記者団に「金額を削除する」と述べた。

◆「これから議論される」と鈴木馨祐氏は繰り返すばかり

 政策活動費の使途などをチェックする第三者機関の設置についても質問が相次いだが、鈴木氏は「組織や権限などの具体的な内容はこれから議論される」と繰り返した。  政策活動費の領収書公開や第三者機関設置は、法律本体の本則ではなく付則に置かれた上、「検討」の2文字も並ぶ。1994年の政治改革の際に見直すとされた政党への企業・団体献金は、その後も温存された。衆院会派「有志の会」の福島伸享氏は「検討を加えた結果、何もしないこともあり得る」と指摘した。  改正案は、4日の特別委で岸田文雄首相の出席で質疑を行った後に採決される。自民は同日の衆院本会議での採決を目指す。(井上峻輔、大野暢子) 

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