憲法改正を巡り、自民党が今国会中の改正原案提出を見送る見通しとなったことが党関係者への取材で判明した。立憲民主党などが強く反対する中、改憲勢力だけで条文化を進めれば、岸田文雄首相が今国会での実現を目指す政治資金規正法改正に影響を及ぼすと判断した。
首相は9月末までの党総裁任期中に憲法改正を目指す考えを示していたが、改正原案を今国会に提出できないことで、断念せざるを得ない状況になった。
改憲に前向きな自民、公明、日本維新の会、国民民主など4党1会派は、衆参で改憲案の発議に必要な3分の2以上の議席を有する。衆院憲法審査会では、この4党1会派が緊急事態時に国会議員の任期を延長する条項について条文化を提案していた。
総裁任期中の憲法改正を実現するには、23日に会期末を迎える今国会で改正原案を国会に提出した上で、衆参両院の憲法審査会で審査し、国会発議することが前提条件となる。
自民は改憲に消極的な立憲などにも条文化の作業に加わるよう呼び掛けていたが、立憲は応じていない。
さらに、立憲は自民などの改憲勢力だけで条文化を強行すれば、今国会で最大の焦点となっている政治資金規正法の改正案を含め、全ての法案審議に応じられないと自民側に伝達。与野党関係者によると、自民も今国会での条文化見送りを受け入れる方針という。
自民の衆院側には会期末ぎりぎりまで改正原案の提出を模索する動きもあるが、厳しい情勢だ。4党1会派で条文を作成する方針を確認した上で、国会閉会後に作業を進める案などが検討されている。
首相は10日の参院決算委員会で憲法改正について問われ、「自民党総裁として任期中に憲法改正を実現したいと申し上げてきたが、時間的な制約があることは事実だ」と述べていた。【遠藤修平、竹内望】
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