参院政治改革特別委員会は11日、派閥の裏金事件を受けて自民党が提出した政治資金規正法改正案の質疑を行った。政治家の監督責任強化を目的とした「確認書」制度や、使途公開の義務がない政策活動費の領収書の10年後公開を巡り、野党は「再発防止に全く役立たない」などと自民案の問題点を追及した。

◆「全く知らないことは起こらない」と強調はしたが

 改正案は、会計帳簿や領収書が保存されていることを国会議員が確認するよう規定。さらに会計責任者が作成した収支報告書が適正か確認した上で「確認書」の交付を義務付けた。不記載や虚偽記入があり、議員の確認が不十分だった場合は、公民権停止につながる罰金を科す。  立憲民主党の小西洋之氏は、この制度について「政治家が裏金の存在を全く知らなかった場合、その確認の責任も負わず、罰則の適用もない。今までと同じだ」と追及した。  自民案提出者の小倉将信氏は「議員本人が随時確認をするので、全く知らないということは今後起こり得ない」と反論したが、「確認の義務を履行しても(裏金の)存在を把握できなければ、確認しないで(確認書を)交付した罪は負わない」と認めた。

◆領収書公開の範囲は「今後検討する」

 政党が党幹部らに支給する政策活動費に関し、党幹部を経由して国会議員や地方議員に渡った場合、最終的な使途の領収書が10年後に公開されるかどうかも焦点となった。岸田文雄首相は5日の衆院特別委で、公開を明言していなかった。

11日、参院政治改革特別委で立憲民主党の小西洋之氏(手前)の質問を聞く(左から)自民党の鈴木馨祐氏、小倉将信氏、藤井比早之氏=千葉一成撮影 

 自民案提出者の鈴木馨祐氏は11日の質疑で、最終支出の領収書も公開対象となる可能性に言及したが、「公開の範囲は今後、各党で検討する」とも述べた。  政策活動費の領収書の10年後公開は、日本維新の会の要求で自民案に盛り込まれた。小西氏は維新に対しても、公開対象となる領収書の範囲を示すよう求めた。(近藤統義) 

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。