改正出入国管理法などは、技能実習制度を廃止して新たに育成就労制度を設け、外国人労働者を原則3年で専門の技能があると認められる「特定技能」の水準にまで育成するとしています。

受け入れる分野は、働き手が不足している介護や建設、農業などが想定されていて、これまで原則認められていない別の企業などに移る転籍を、一定の要件のもと同じ分野に限り認めます。

また、故意に納税などを怠った場合は、永住許可を取り消すことができることも盛り込まれていて、付則で、取り消す際には生活状況などに十分配慮するなどとしています。

改正法は14日の参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党や日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決・成立しました。

立憲民主党や共産党、れいわ新選組などは反対しました。

これに先立ち討論が行われ、反対した立憲民主党の牧山ひろえ氏は「永住資格の取り消しをはじめとする今回の法案は共生社会の芽を摘もうとする岸田内閣の象徴ともいうべき完全なる人災だ。目的ばかりでなくその手段も虚偽やごまかしの手法ばかりで強く批判する」と述べました。

賛成した日本維新の会の清水貴之氏は「今回の改正案で積み残された多くの課題がすべて解決できるとは思えない。しかし人権上の問題も指摘されている技能実習制度の改善が喫緊の課題であることは間違いなく、一歩前へ進めるという意味で賛成する」と述べました。

改正法は、3年後の2027年までに施行されます。

小泉法相「ガイドライン作成など具体化進める」

小泉法務大臣は参議院本会議に先立って記者団に対し「さまざまな分野に大きな影響力が及ぶ重要法案で、施行まで3年という期間があるが、できるだけ早くガイドラインの作成など具体化を進めて、多くの人たちの疑問や不安にこたえていきたい。国会審議で指摘されたことも十分に踏まえながら一層の取り組みを進めていきたい」と述べました。

武見厚労相「権利保護や制度の円滑施行に向け取り組む」

武見厚生労働大臣は閣議のあと記者団に対し「国際的な人材獲得競争が激化する中、外国人にとって魅力ある制度を構築し、長期にわたってわが国の産業を支える人材を確保することが重要だ。出入国在留管理庁と緊密に連携を取りながら、外国人の労働者としての権利の保護や、人材の育成・確保が適切に図られるよう、制度の円滑な施行に向けて取り組んでいきたい」と述べました。

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