全国の自民党地方組織で中止や延期が相次ぐ中、横浜市連は今年も夏恒例の政治資金パーティーを開催する予定だ(写真は2022年11月に開催した「感謝の集い」)

 自民党横浜市連が来月11日に政治資金パーティーの開催を予定していることが13日、関係者への取材で分かった。政権が今国会中の成立を目指す政治資金規正法改正案はパーティー禁止を盛り込んでいないものの、逆風の元凶である派閥裏金事件の舞台だったことから、全国の地方組織では延期や中止が相次いでいる。幹部が岸田文雄首相に退陣要求を突き付けた直後というタイミングでもあり、所属議員からは「開くべきではない」と疑問の声が出ている。(志村彰太)

◆市連幹事長「カネ集めとは違い、透明性を確保」

 横浜市議や市内選出の県議、衆参議員らが所属する市連は毎年夏ごろ、「時局講演会」と題してパーティーを開催しており、資金収支報告書に記載された2022年時の収入は630万円。会費は1人当たり1万円で、今年は木原稔防衛相を講師に招くという。  市連の山下正人幹事長(横浜市議)は本紙の取材に「党の政策を党員や支援者に知ってもらうためで、カネ集めとは違う。参加費は銀行振り込みで、透明性を確保している」と説明する。関係者によると、これまで各議員の販売ノルマにはばらつきがあったが、購入者の公開基準を現行の「20万円超」から「5万円超」へ引き下げる政治資金規正法改正案の規定を念頭に、今年は一律5枚(5万円)にする方向だという。

◆嘆く議員「偉そうな発言をしておきながら…」

 それでも、開催を巡って内部の意見は割れている。市内選出の県議は、先の市連大会で佐藤茂会長が裏金事件を巡って首相に退陣を迫るなど「政治とカネ」問題に厳しい姿勢を示したことを踏まえ、「偉そうな発言をしておきながら…」とあきれ顔。別の市議は世論の反発を予想して「特大ブーメランを放ってどうする」と再考を求めた。「時期が時期なので、支援者に買ってもらうわけにはいかず、自分で負担するしかない」と漏らす市議もいた。  裏金事件を受け、政治資金パーティーの開催禁止を打ち出した立憲民主党の県連代表、青柳陽一郎衆院議員は自民党市連の対応に関して「政治資金規正法改正案の審議中にパーティー開催を決めるとは見識を疑う。首相に退陣を求める資格があるのか」と批判した。 

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