外務省

上川陽子外相は16日の閣議で、令和6年版「外交青書」を報告した。中国との関係について5年ぶりに「戦略的互恵関係」と明記し、韓国を14年ぶりに「パートナー」と表現した。

青書は2年以上に及ぶロシアによるウクライナ侵略などを踏まえ、冷戦後の国際社会について「再び歴史の大きな転換点にある」との認識を示した。その上で日本の方針として「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた外交を包括的に進める」とした。

中国を巡っては、昨年11月の岸田文雄首相と中国の習近平国家主席の合意事項を反映させる形で、令和2年版以降は使用していなかった「戦略的互恵関係」の表現を復活させた。

一方で、中国の「尖閣諸島(沖縄県石垣市)情勢を含む東シナ海、南シナ海における力による一方的な現状変更の試み」や「ロシアとの連携を含む日本周辺での軍事的活動の活発化」を挙げ、「数多くの課題や懸案が存在している」とした。

また、東京電力福島第1原発の処理水海洋放出後、中国が講じた日本産食品輸入規制措置を「何ら科学的根拠のない対応」と断じ、中国で相次いでいる邦人拘束事案に関する記述を増やした。

尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の発足後、関係改善が進む韓国については「国際社会のさまざまな課題への対応にパートナーとして協力していくべき重要な隣国」と位置付けた。

北朝鮮による日本人拉致問題については「時間的制約のある、ひとときもゆるがせにできない人道問題」とし、解決のため、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との会談の実現を目指す首相の方針を明記した。

このほか、処理水放出を巡る中国による偽情報の拡散も踏まえ、「偽情報対策を含む情報戦への対応」の項目を設けて記述した。

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